函館開幕週のメインレースは、今年もサマースプリントシリーズ第1戦の函館SS(G3、芝1200メートル、11日)が行われる。北海道巧者のジュビリーヘッド(牡6、安田隆)がここで重賞初Vを狙う。昨年も2着に好走した一戦。年を重ね、さらに成熟したスプリンターが、来年2月末で定年を迎える安田隆行調教師(70)に最後の函館SS制覇をもたらすか。

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気持ち良く晴れ渡った火曜の朝、ジュビリーヘッドは函館山をバックにコースで体をほぐした。「先週火曜(5月30日)に函館入りしたが、輸送はスムーズだったし、以前より徐々に落ち着きも出ている」と田港厩務員。体の張りや毛づやも良く「中山で勝った時(1月カーバンクルS)と変わらない状態」と気配はいい。

涼しい気候が得意なせいか、北海道開催が得意だ。函館芝では昨年の函館SS2着をはじめ、3戦してすべて2着。札幌芝と合わせても【1 3 0 1】と好走が多い。「力のあるタイプだし、洋芝が合うんでしょう」と安田隆師は分析する。

そもそも安田隆厩舎自体が函館SSと好相性だ。11年カレンチャン、17年ジューヌエコール、20年ダイアトニックと過去3勝。その20年から、21年2着カレンモエ、22年2着ジュビリーヘッドと現在3年連続で連対中だ。「短距離王国」と呼ばれる同厩舎にふさわしい実績を残している。

来年2月末で調教師を定年、引退する安田隆師にとって、これが最後の函館SS。「勝って終われたらいいですね」と、ジュビリーヘッドでの厩舎4勝目を見据える。【岡本光男】