夢の続きが始まる。今、SNSを中心に話題沸騰中のライスネイチャ(牡2、父メイショウボーラー)が栗東・松永昌厩舎に入厩した。

5月30日にこの世を去った個性派ナイスネイチャを思わせる馬名は、ライスの3代母とナイスの母が同じウラカワミユキという血統にも由来する。ナイスネイチャの主戦騎手を務めた松永昌博調教師(69)が、今度はトレーナーとして夢の続きを紡ぐ。待望のデビューは夏の小倉開催(8月12日~9月3日)となる予定だ。

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希代の個性派ナイスネイチャの名と血を受け継いだ“血統馬”が栗東トレセンにやってきた。その名をライスネイチャという。馬名の由来は「母名および母母の兄馬名にちなんで」。母オムスビからライス、そして祖母の兄ナイスネイチャにちなんで命名された。

松永昌師が初めて同馬を見たのは昨年の9月、セプテンバーセールだった。

「あの頃はまだ小さかったけど、こっち(栗東トレセン)に来て大きくなったなあと感じるよ」

きれいな栗毛の馬体に、ド派手な流星が入ったベビーフェイス。ナイスネイチャと見た目は似ていないが、時折見せる鋭い眼光は闘争心を感じさせる。

「ナイスは初めからおとなしかった。こっち(ライス)も素直だけど、ちょっとやんちゃかな。ウラカワミユキの血統でこの名前だからね。思い入れはあるし、頑張ってほしい」

師は先日、北海道浦河町絵笛にあるナイスネイチャのお墓を訪れた。道中は、5月30日に旅立ったかつての相棒との思い出を振り返り、墓前では「お疲れさん」と伝えたという。「現役時代は全然思わなかったけど、今になって、人生の中でナイスは大事な存在だったんだなと思うよ」。ライスの入厩間近に、改めて愛馬の偉大さを感じていた。

ナイスネイチャのファンと松永昌師の思いを乗せ、ライスネイチャは夏コクでのデビューを目指して調整を進めていく。師は来年2月末で定年。ライスとの月日は限られるが「引退後も楽しみができたよ。ずっと応援したい。ナイスネイチャやウラカワミユキが長生きしたように、長く活躍してほしいね」。そう言って、ほおを緩ませた。【藤本真育】

<取材後記>

まだ入厩して間もないライスネイチャですが、松永昌厩舎ではすでにアイドルホースとなっています。同馬の取材と写真撮影で厩舎を訪れると、すぐに「ライスネイチャ、こっちやで!」と案内されて洗い場へ。すると、多くのスタッフさんが集まり「担当と一緒に撮ってあげて」「いつ載るの? その日の新聞、10部買うから」など、さまざまな温かい声が飛び交い、和やかな雰囲気でした。愛されキャラはナイスネイチャと同じです。【マイク】