国内最大の競走馬のセリ、セレクトセールの2日目、当歳部門が11日、北海道苫小牧市のノーザンホースパークで行われた。現役時代に無敗で3冠を達成した新種牡馬コントレイル産駒は、上場20頭で1億円超えが8頭と抜群の人気ぶり。中でもコンヴィクション2の23(牡)は、この日最高額の5億2000万円で父を生産した(株)ノースヒルズが購入した。来春新規開業予定の福永祐一厩舎に預託される見通しだ。(値段は全て税抜き)

    ◇    ◇    ◇

衝撃の種牡馬デビューを飾った。曇天で蒸し暑くなってきたセリ会場は、異様な静寂に包まれていた。コントレイル産駒6頭目の登場となったコンヴィクション2の23(牡)。5000万円スタートから高速ラリーのような競り合いが続き、5億2000万円で決着した。セレクトセール当歳セリ史上3位の高額で落札したのは、コントレイルを生産した(株)ノースヒルズ。来年開業予定の福永技術調教師とノースヒルズ前田幸治代表は、ぎゅっと握手を交わして喜びを共有した。

「3冠コンビ」が形を変え、再始動する。騎手としてコントレイルを栄光へと導いた福永師。今度はトレーナーの立場で、前田代表とともに大きな夢を目指す。「3億円くらいの予算だったけど、引くに引けなかったです。僕の最大の開業祝いです」と前田代表が笑顔を見せると、福永師は「コントレイルらしい品の良さ、バランスの良さを感じています。牧場と連携して、しっかりと準備していきたいです」と意気込んだ。

今は亡きディープインパクトから受け継いだ類いまれな競走能力を、次の世代へ。その遺伝力に大きな期待がかかる。現役時に手綱をとった師が感じるのは手脚の軽さと、バランスの良さだ。コントレイルの引退前から「種牡馬として生産界を引っ張っていく馬になると思う」と予言。この日も「生産者の方々の評価が高く、良い特性を引き継いでると思う。全体的に手脚が軽く、芝の中距離で活躍できるような感じ」と産駒を評した。

日本競馬界は、ディープインパクト、キングカメハメハ、ハーツクライの「種牡馬BIG3」が君臨した時代から、大きな転換点を迎えた。新時代を背負って立つのは、コントレイルだ。【藤本真育】