レジェンドとスター街道を歩む。土曜札幌メインは札幌2歳S(G3、芝1800メートル、9月2日)が行われる。

1戦1勝の大器ガイアメンテ(牡、須貝、父ドゥラメンテ)が、武豊騎手(54)を背に挑む。単勝1・4倍の断然人気に推された初陣は重馬場を苦にせず、同騎手がステッキを入れずに快勝。20年の勝ち馬ソダシなど須貝厩舎のG1馬を輩出する出世レースで、世に才能を知らしめる。

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能力を隠し切れない。初戦のレース前。ガイアメンテを担当する山田助手は、武豊騎手の称賛を耳にした。「パドックで初めて乗った豊さんが『あ、いいわ。相当いいよ』と言っていましたし、返し馬が終わった後も『相当走るよ』と褒めてくれていましたね」。

数々の名馬を知る鞍上の感覚を、結果が裏付けた。好位で我慢を重ね、直線もノーステッキ。手前をうまく替え切れず、伸びしろを残しながら楽に抜け出した。鞍上は「非常に強かった。いい走り。ストライドが大きくて力強い。安心して乗っていられた。楽しみですよ。それぐらいの素材だと思う」と舌を巻いた。

期待の高さはレース選択にも表れる。札幌2歳Sには須貝厩舎の先輩、ゴールドシップ(2着)、レッドリヴェール(1着)、白毛のアイドル・ソダシ(1着)が出走。ここをステップにしてG1馬に飛躍。登竜門を前に、山田助手は「品があって格が違いますね。調教から動けていたし、初戦も負けないと思っていました。こちらが思っている通りのパフォーマンスをしてくれましたね」と自信を見せる。

前走後は北海道のノーザンファーム早来に放牧へ出され、23日に札幌競馬場に入厩。26日にダートで3ハロン44秒0-12秒7と、馬なりで軽めの時計を出して心身を整えた。「ドゥラメンテ産駒らしくそわそわする面があるので、放牧から10日競馬の方が調整しやすいと思います。ものは相当いいので、通過点ぐらいの気持ちです」。百戦錬磨のレジェンドとともに、晩夏の札幌から世代の旗手へと名乗りを上げる。【桑原幹久】

◆出世レースの札幌2歳S 過去10年で13年1着レッドリヴェール、14年3着レッツゴードンキ、18年1着ニシノデイジー、20年1着ソダシ、2着ユーバーレーベン、21年1着ジオグリフが後のG1、J・G1馬に。昨年の勝ち馬ドゥーラはオークスで3着と健闘した。古くは00年ジャングルポケット、08年ロジユニヴァースがここから羽ばたきダービー馬となった。

◆須貝尚介調教師のJRA2歳重賞成績 12年アルテミスSをコレクターアイテムで勝ったのを皮切りに12勝、G1・4勝。現役調教師で12勝は中内田充正師と並びトップ。札幌2歳Sにはガイアメンテとウールデュボヌールの2頭を登録。