凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月1日=パリロンシャン)に今年、関東の5歳牝馬スルーセブンシーズ(尾関)が単騎挑む。同馬の調教師、騎手、関係者らを取り上げる連載「海を渡ったスルーセブン」第5回。

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「夢のような旅路」は海を渡ってフランスへとつながった。今やJRAに10頭の産駒しかいないドリームジャーニー。数少ない子供たちの中からスルーセブンシーズをはじめ、ヴェルトライゼンデやトゥラヴェスーラなどが血の底力を示している。現役時代に管理した池江泰寿調教師(54)は「体が小さくて(種付けが)難しく、人気は出なかったけど、よく頑張っていると思う」と目を細める。

4歳下の全弟には3冠馬オルフェーヴルがいる。血統はもちろん、共通点は多かった。「どちらも、しまいにいい脚を使うし、ステイゴールド産駒らしい激しさがあった。ドリームジャーニーの方が危ういところがあったけど」。トレーナーにとっても兄を手がけた経験が、3冠達成に生きたと認めている。

弟は12、13年に凱旋門賞で2着と好走した。兄は国内戦のみでキャリアを終えたが、もし挑戦していたらどうだったか?

「晴れ専用という馬で、少しでも渋ると駄目だったからね…。オルフェーヴルは高く脚を上げてかき込む走りだったので、あちらの芝が合うと思ったけど。海外なら(3歳秋に予備登録した米国の芝G1)ハリウッドダービーに使いたかった。天気もいいし(開業前に)ハリウッドパークで研修していたので」

その娘スルーセブンシーズは道悪や荒れ馬場も苦にせず、世界最高峰のレースへと駒を進めた。「産駒(の適性)はまた別なので。ドリームジャーニーの子だし応援しますよ」。自身ものべ5頭を出走させた夢舞台。ゆかりの血が流れる今年の挑戦者へ熱い視線を注いでいる。【太田尚樹】

(おわり)