南関東・川崎所属でデビュー3年目の女性ジョッキー、神尾香澄(21=山田質)が重賞を初制覇した。

自厩舎の2番人気マッドシェリー(牝5、山田質)に騎乗。スタートから手綱を押し、ステッキを入れて先手を奪い切った。勝負どころの3~4角で他馬が押し寄せてくる中、直線ではギアを1段上げて鮮やかに逃げ切った。2着に2馬身半差で、勝ち時計の58秒1はコースレコード。前走まで同馬の7勝のうち5勝を挙げた。21年5月26日の地方初勝利でもコンビを組んだパートナーに、重賞初勝利をプレゼントした。

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神尾騎手は「レース前から行く気で乗りました。好スタートを切ってからも他の馬を見ながら、自分のペースを大事にしてレースを作りました。今日の馬場は内を少し開けて走った方がいいと思ってコースを選びましたが、その内から馬が来ているのは分かっていました。いつも川崎900メートルで勝っていましたが、今日は1000メートル。ラストが心配でしたが、強いレースをしてくれました。マッドシェリーはデビューする前から乗せていただいて、とても思い入れがあります。その馬で重賞初制覇できて、すごくうれしいです」と喜んだ。

鞍上は21年4月に川崎競馬歴代3人目の女性騎手となった。小さい頃はなでしこジャパンの11年W杯優勝に憧れたサッカー少女。先にサッカーを習い始めた兄の影響もあり、小4からサッカーに打ち込み、静岡のアスルクラロ沼津の女子チームで活躍した。ポジションはFW。さらに「本格的にやりたい」と、兄がキャプテンを務めていたFC時之栖に加入。男子にも交じってプレーしていた経歴を持つ。ただ身長が147センチと小さく、プロスポーツ選手になるにはと考えた。たどり着いたのが小さな体を生かせる騎手で、ついに重賞のタイトルをつかみ取った。

なおこのレースは、芝コースの走路状態の悪化で安全かつ公正な競馬の施行に支障があると判断されたため、ダートに変更して行われた。