「今の香港のトップは(ザック)パートン(騎手)だけどさ、やっぱり、香港国際競走の時はジェームズ・マクドナルドがすごかったよなあ。ロマンチックウォリアー、どんなレースするのかなあ?」。今週の美浦である調教師とそんな会話になりました。

メルボルン(オーストラリア)のスプリング・カーニバルは先週土曜にコーフィールドCが行われ、今週末はコックスプレート(G1、芝2040メートル、28日=ムーニーバレー)があります。10ハロンで行われ、オセアニアの最強馬を決めるレース。近年は15~18年に名牝ウインクスが4連覇を達成し、19年には日本から遠征したリスグラシューが勝利。世界の矢作厩舎がこのレースを制しています。

今年の注目は、なんといっても、香港の中距離路線の最強馬ロマンチックウォリアー(セン5、父アクラメイション)が参戦することです。遠征初戦のターンブルSは4着に敗れましたが、今回が目標の一戦。鞍上はもちろん、ニュージーランドが生んだ天才ジェームズ・マクドナルドです。

ロマンチックウォリアーは昨年暮れの香港カップを圧勝し、今春のクイーンエリザベス2世Cも勝利。いずれも日本馬を相手に完勝し、日本の関係者に強烈なインパクトを与えました。

クイーンエリザベス2世Cを勝った直後には、天皇賞・秋への遠征を陣営が検討するという報道がされ、大きな注目を集めました。管理するダニー・シャム調教師の師匠がイヴァン・アラン調教師(98年安田記念8番人気2着オリエンタルエクスプレス、99年ジャパンC12番人気2着インディジェナス、00年安田記念10番人気1着フェアリーキングプローンなど日本遠征で素晴らしい実績)ということも紹介。実現すれば面白かったのですが、矛先は日本ではなく、オーストラリアのメルボルンへ向かいました。

東京競馬場で走る姿も見たかったけど、陣営にとってはコックスプレートの方が現実的な選択肢だったのだと思います。コックスプレートを走った後は帰国し、登録してある香港カップ(G1、芝2000メートル、12月10日=シャティン)で日本馬と相まみえることになるでしょう。

明日(28日土曜)は天皇賞・秋前日の東京競馬場。2歳牝馬の重賞アルテミスSが行われます。大一番の前日の競馬、メチャメチャ盛り上がりそうです。新潟は秋開催の最終週。京都ではマイルCSの前哨戦であるスワンSが行われます。コックスプレートは現地時間17時10分、日本時間の15時10分に発走予定。ロマンチックウォリアーがどんな競馬をするのか、楽しみですね。

X(旧ツイッター)を見ていると、ブリーダーズカップへ遠征している日本馬の動画がたくさん投稿されています。アメリカ西海岸(ロサンゼルス近郊)らしく、天気も良さそうで、現地へ行っている厩舎スタッフに連絡してみましたが、快適に仕事できている様子で…。

同じように、オーストラリアのシドニーでゴールデンイーグル出走予定のオオバンブルマイ、メルボルンでメルボルンC出走予定のブレークアップの動画もXに投稿されています。向こうは南半球なので季節は春に向かっていくところ。競馬場にはきれいな花が咲き誇る時季です。【木南友輔】