1番人気コラソンビート(牝、加藤士)が3連勝で重賞初タイトルを手にした。管理する加藤士津八調教師(38)にとっても騎手時代を含めて初の重賞制覇となった。勝ち時計の1分20秒6は2歳コースレコード。牝馬による制覇は98年ウメノファイバー以来、25年ぶりと記録ずくめの1勝となった。

思いが届いた。コラソンビートは4角6番手で直線に入った。先頭との差は約10馬身。先に抜け出したオーキッドロマンスは勢い十分。届くかどうか、ギリギリだった。加藤士師は振り返る。「調教師になって初めてあんなに叫んだかもしれません」。我を忘れ、愛馬を応援した。その絶叫が背中を押し、ゴール前で差し切った。騎手時代を含めて、初めての重賞タイトルを手にした瞬間だった。

レコードでの3連勝。師にとっては驚きを与えてくれる存在だ。実感したのは美浦ウッドでの1週前追い切り。時計は6ハロンの全体時計が78秒1と強い負荷がかけられていた。「そのダメージがなかったんです。馬は疲れていないし、筋肉も痛めていなかった。獣医師の方が『本当に追い切りやったんですか』って言うくらい」。他馬とは少し違うと確信。それが結果にも表れた。

昨年オオバンブルマイで制覇した横山武騎手は、連覇を達成。「想像以上のいい脚を使ってくれました。癖がなくて、真面目すぎるくらいの馬。距離は1ハロン延びても大丈夫」と力を認めた。次走は12月10日の阪神JF(G1、芝1600メートル)が視野に入る。今度は師に、初めてのG1タイトルをプレゼントだ。【阿部泰斉】

◆コラソンビート ▽父 スワーヴリチャード▽母 ルシェルドール(オルフェーヴル)▽牝2▽馬主 (株)サラブレッドクラブ・ラフィアン▽調教師 加藤士津八(美浦)▽生産者 ビッグレッドファーム(北海道新冠町)▽戦績 4戦3勝▽総収得賞金 6192万3000円▽馬名の由来 心(スペイン語)+鼓動。心の音。

◆スワーヴリチャード産駒 JRA重賞は今回が産駒3頭目の出走で初勝利。これまでの最高着順は、札幌2歳Sパワーホールの2着だった。