イン突きは狙っていたのか、想定外だったのか-。ディープインパクト産駒オーギュストロダン(牡3、A・オブライエン)を歴史的な勝利に導いたライアン・ムーア騎手が鮮やかなイン強襲を振り返った。

記者会見で「ラチ沿い(レール)にこだわっていたのですか、それとも、もしラチ沿いがダメなときはプランB(次の作戦)があったのですか?」と問われ、「レール(ラチ沿い)に行ったのは正直、(プランAでもプランBでもなく)プランFのようなものでした。チャンスを最大限に生かさなければいけなかった」と、流れの中での判断だったことを明かしている。

「レースは計画通りにいきませんでした。レースの序盤はみんなが互いに邪魔し合っていて、いい感じではなかったです。私は馬が彼のリズムで走れるようにしたかったし、彼はすぐに、簡単に自分のリズムをつかんでくれました。彼は2つのダービー(英愛ダービー)、愛チャンピオンS、そして、ここで何頭かの強い馬を負かし、実力を証明しました。不利も克服しました。嫌な展開でしたが、勝つことができました。彼はとても優れた馬で正しい判断ができましたが、ラチ沿いを抜けてくるのは簡単なことではなかったでしょう」。数々の神騎乗を見せてきた名手が、この日も多くの競馬ファン、関係者をうならせた。

記者会見で厩舎の主戦騎手ライアン・ムーアとの関係を問われたエイダン・オブライエン師は「ライアンは成長し続けています。いつも言っているんです。45歳になるまで進化する、と。(現在40歳なので)彼にはあと5年残っています。昨日もパドックでその話をしました。彼はあらゆる面でプロフェッショナルです。信じられない人物です。真っすぐで、誠実で、正直。彼はすべてを持っていて、さらに良くなっています。本能は鋭くなって、ますます力強くなっています。あなたが何時に起きても、あなたより先に(トレーニングの)ジムにいます。それが彼です。牧場を知っていて、騎手を知っていて、世界中の馬も競馬場も知っています。彼がここからどこへ行くのか、日本へ行って、香港へ行って、日本へ戻って…、火曜には(メルボルンCの行われる)オーストラリアへ行って、世界中のビッグレースにいます。そして、それが彼をますます成長させます。彼が主戦騎手であることを本当に光栄に思います」と絶賛している。