登竜門を突破した。4番人気シュトラウス(牡、武井)が先団から抜け出し、2度目の重賞挑戦で初タイトルを獲得した。勝ち時計は1分46秒5。前走サウジアラビアRC3着の雪辱を果たし、2歳世代の主役へと立候補した。

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“マジックマン”もひと苦労の旅路だった。シュトラウスは2着に1馬身半差をつけてゴール板を突き抜けた。はたから見れば、鮮やかな勝利劇。しかし、モレイラ騎手は苦笑いを浮かべた。「正直、コントロールが難しかったです。特に前半」。簡単な勝利ではなかった。

好スタートから道中は3番手を追走。鞍上の体勢は後ろ重心で、拳が力強く握られていた。必死に馬を落ち着かせた。その意図がだんだんと馬に伝わる。呼吸が次第に合い、直線に入る頃には馬のリズムを重視する体勢に戻っていた。「能力が高いです。将来性がある」。モレイラ騎手が絶賛するスピードに、他馬はついてこられなかった。

名手たちがつないだ勝利劇だった。デビュー時から折り合いに苦労する面があり、新馬戦は逃げ切り勝ち。重賞初挑戦の前走は3着に。武井師は振り返る。「ジョッキーさまさまですよ。前走はクリストフ(ルメール)が後ろで我慢してくれて、今回は返し馬からうまく持っていってくれた」。師は開業10年目で初のJRA重賞勝利だったが、その喜びよりも感謝を優先した。今後は未定だが、過去にイクイノックス、コントレイルなどが制覇した出世レースを突破した。世代の横綱格に位置することは、間違いない。【阿部泰斉】

◆シュトラウス▽父 モーリス▽母 ブルーメンブラット(アドマイヤベガ)▽牡2▽馬主 (有)キャロットファーム▽調教師 武井亮(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 3戦2勝▽総収得賞金 5390万2000円▽馬名の由来 ドイツ語の花束より。母名より連想。