8番人気アイアンバローズ(牡6、上村)が石橋脩騎手(39)を背に平地最長距離のマラソンレースをまんまと逃げ切り、15度目の重賞挑戦で初タイトルを手にした。勝ちタイムは3分45秒4。管理する上村洋行師(50)は、阪神のチャレンジCに続き同日東西重賞ダブル制覇を達成した。

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1周目の3角手前で石橋騎手が勝負をかけた。アイアンバローズのリズムを重視し、主導権を握っていたアフリカンゴールドに競り駆けると一気にハナを奪い切った。「あまりペースを落としたくなかったし、この馬のペースで残れることを考えながらいこうと。(以前乗せてもらって)この馬は本当に体力があると感じた。それを生かせるレースをしたかった」。持ち前のスタミナを最大限生かすことに全力を注いだ。

2周目の2コーナー付近では2番手に最大17馬身ほどの差をつけて場内をどよめかせ、会場の視線を独り占めにした。2周目4角手前で一気に後続が迫るも最後の力を振り絞り、堂々と独り旅を完結させた。「よく頑張ってくれました。また、頼んでもらって重賞を勝ててよかった」。4分弱もの時間、相棒を鼓舞し続けた鞍上は息を荒くしながらパートナーをねぎらった。「これくらいの距離がいいと思っていたし、持久力が本当に抜けている」。管理する上村師も強靱(きょうじん)なスタミナに改めて舌を巻いた。この先も消耗戦なら望むところ。初重賞制覇を皮切りに長距離路線の主役を目指していく。【井上力心】

◆アイアンバローズ ▽父 オルフェーヴル▽母 パレスルーマー(ロイヤルアンセム)▽牡6▽馬主 猪熊広次▽調教師 上村洋行(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 27戦5勝▽総収得賞金 2億1512万5000円▽馬名の由来 鉄+冠名。

◆ステイヤーズS優勝馬の前走 勝ったアイアンバローズは2400メートルの京都大賞典からのローテ。前走が2400メートル以上のレースに出走した馬の優勝は27年連続。