香港国際競走(10日=シャティン競馬場)に出走する各馬が6日に同競馬場で追い切られた。現地で取材する東京・井上力心(よしきよ)、大阪・下村琴葉(ことは)の両記者が担当する連載「香港eye2023」。第3回は現地入りしている井上記者が、香港カップ(芝2000メートル)に出走するプログノーシス(牡5、中内田)の動きをジャッジ。川田騎手と息の合った力強い動きで順調ぶりをアピールした。

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1年ぶりに訪れたシャティン競馬場はあいにくの曇り空だったが、朝の気温は20度ほどで馬にも人にも過ごしやすい恵まれた気候だった。追い切りを行った日本馬たちにも目立った発汗は見られず。走り出すと元気いっぱい、止めに入れば落ち着きを保つめりはりの利いた馬が多かった。日本馬の先陣を切って、芝コースで追い切られたのは川田騎手を背にしたプログノーシス。筋肉が浮き出て鍛え抜かれた肉体に圧倒された。天皇賞・秋(3着)でイクイノックスに0秒6差の1分55秒8という速い時計で、走り抜いたとは思えないほど馬体は充実している。

直線で鞍上に軽く促されると、ラスト2ハロンは気合乗り十分に24秒1をマーク。シャティンの芝にフィットしたブレのない推進力あるフットワークが目を引いた。川田騎手は「リズムを大事に、オーバーワークにならない程度に動かして、ある程度いい状態で来られている感触です」と満足した様子。今春のクイーンエリザベス2世Cで2着に好走しており「(シャティンの馬場も)走っていますので」と当地の芝を気にする様子はなかった。「レースに行けばもっといい雰囲気になってくれる馬」。パートナーへの信頼はすこぶる厚い。3度目のG1参戦、2度目の香港で今度こそ栄冠をつかむ態勢は整った。【井上力心】

■日本馬にも馬場フィット

昨年の日本馬は馬場の不適合を敗因とする馬も少なくなかったが、自分の印象からすると昨年以上とも思えるほど芝は青く生えそろい、踏み締めた感触もやや硬さが感じられた。よりスピード色が高まりそうなイメージを持った。シャフリヤールの追い切りを見届けた藤原英師にも印象を聞くと「馬場は良さそうだよ。クッションもあって走りやすそう。日本の馬にもフィットしてるんちゃうかな」という。確かにフォームを崩さずのびのび走れていた馬ばかり。日々変化する馬場は毎日細かに観察の上、予想の重要なファクターとしたい。