有馬記念(G1、芝2500メートル、24日=中山)の最終追い切りが20日、東西トレセンで行われた。注目馬の調教を掘り下げる「追い切りの番人」は東西でダービー馬の動きをチェック。美浦では木南友輔記者が今年のダービー馬タスティエーラ(牡3、堀)の順調ぶりを評価。今回も力を出せる出来と判断した。なお、有馬記念の枠順抽選会はきょう21日に行われる。

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「73年タケホープ以来50年ぶりとなる『ダービー&菊花賞』の2冠制覇を狙える仕上がりだ」と前走の当欄は締めくくった。ダービー馬が異例の直行ローテ(中146日)で挑んだ結果は、上がり馬ドゥレッツァに敗れたものの、2着を確保。ダービー馬の称号にふさわしい走りは見せていたのではないか。今回はフレッシュな秋2戦目。上積みを期待したい状況だ。

前走後はノーザンファームしがらきで約1カ月の短期放牧。先月25日に帰厩後は順調な乗り込みを続けている。菊花賞時の番人では時計の出し方に注目した。せっかくなので同じ形で比べてみたい(ウッドは6ハロン、坂路は4ハロン)。

3週前、2週前、1週前は木曜にウッドで追い切り、当週は水曜の追い切り。週末には坂路でしまいを伸ばしている。微妙に時計の数字は異なっているが、これは馬場状態の違いもあるだろう。直前の長距離輸送の有無はあるものの、前走同様の調整過程=力を発揮できる仕上がりにあるのは数字から見て取れる。

最終追い切りは先行するチザルピーノ(新馬)を内から1馬身抜き去り、ゴール板を過ぎた後もさらに加速していくような力強い内容。「もう一段階良くなりそうだったので、当該週としては少し強めにやりました。当初は木曜日にライアン(ムーア騎手)で追い切る青写真でしたが、馬の調整を優先して水曜日に追い切りました。前走よりプラス体重での出走になりそうですが、調教の質と量は十分ですし、春よりも人の指示に反応できるようになっている。操縦性が重要という点でも、いいメンタルでレースに臨めそうです」。堀師のコメントと調整過程から受ける印象も合致する。グランプリ制覇へ、ダービー馬の態勢は整った。【木南友輔】