<有馬記念>◇24日=中山◇G1◇芝2500メートル◇3歳上◇出走16頭

武豊騎手(54)が騎乗したドウデュース(牡4、友道)が、昨年のダービー以来となるG1・3勝目を手にした。勝ち時計は2分30秒9。

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「ドウデュースがいなかったら、今日トレセンで乗ってないと思う。(復帰は)来年だったかも」

右太もも筋挫傷から調教騎乗を再開した今月8日、まだ内出血の残る患部に手をやりながら、武豊騎手は胸の内を口にした。この言葉に、その執念が凝縮されていたと思う。

医師を含めた周囲の意見は「『もう少しゆっくりでも…』という人がほとんどだった」と明かす。10月29日に騎乗馬に蹴られ、右足全体が腫れあがった。たまった血を抜くこと3回。患部が硬くなり、膝が曲がらない。「当初は『2週間も休めば』と思っていた」という復帰の見通しはどんどん長引いた。

「何もしない日は1日もなかった。できることはやった」

相棒への思いが54歳の心身を突き動かした。一刻も早い回復を目指す中で、足を運んだのが大阪の治療院。メジャーリーガーをはじめ幾多のアスリートも診てきたという評判だったが、キャリア37年目で訪れたことはなかったという。未知の療法にはリスクも伴う。それでも、座して待つより“攻めのリハビリ”を選んだ。効果は顕著に表れ、年末の大一番に間に合った。

「強いパートナーがいるのといないのでは、気持ちが全然違う」

クリスマスイブの夢舞台で復活を果たしたレジェンドとダービー馬。強い絆で一体となった人馬が、互いにとって最高のプレゼントをもたらした。【中央競馬担当=太田尚樹】