ダート競馬の総決算、東京大賞典(G1、ダート2000メートル)があす29日、大井競馬場で行われる。ここまで7戦7勝、無敗で今年の南関東3冠を制した大井のミックファイア(牡3、渡辺和)は、この大一番で初めて古馬に挑む。圧勝を繰り返してきた地方競馬の期待の星。中央勢の布陣は強力だが、勢いそのままにダートの頂点を狙う。

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2歳時は3戦3勝。今年は2月の雲取賞から始動の予定だったが、裂蹄で回避を余儀なくされ、ぶっつけで南関東3冠に向かった。それでも羽田盃、東京ダービーをレースレコードの圧勝で飾り、ジャパンダートダービーで中央勢も撃破。6戦6勝で3歳ダートチャンピオンに上り詰めた。

秋は盛岡のダービーグランプリから始動。初めての左回りも問題なく、同世代の地方馬を相手に貫禄勝ちだったが、今後に向けての課題も浮き彫りになった。初めての遠征を気にしたのか、到着してからカイバをほとんど食べず、馬体重は想定よりも大幅に減少。その先にJBCクラシック、チャンピオンズCを見据えていたため、余裕を持って臨んでいたことでジャパンダートダービーからは3キロ減の484キロで済んだが、プラスでの出走を見込んでいた陣営は頭を抱えた。

渡辺和師 行って帰ってきて、減ったとしても普通はだいたい20キロぐらい。そこまで減らない馬もいる。それが行く前に500キロはあったのに帰ってきたら470キロぐらい。30キロ以上は減っていた。これだけの馬なので、そんな状態では使えないですからね

ひとまずJBCクラシックは回避。チャンピオンズCも万全を期そうと思えば遠征の不安がつきまとう。最終的に次走の予定を東京大賞典に切り替えた。この中間も茨城県行方市のミッドウェイファームで調整。牧場で1週前追い切りまで済ませ、帰厩後に最終追い切りを行う流れはダービーグランプリと同様だが、今回は前日の長距離輸送がなく、カイバの心配もない。ツメの不安も解消され、ここに向けての調整は順調。状態に問題はなさそうだ。

渡辺和師 JBCを回避したけど、チャンピオンズCでもまだ日程的に体があまり戻らないうちにペースを上げていかなければならない。そうするとどうしても着地点がこぢんまりしてしまう。ここまで待って、だいぶいい体になった。最終追い切りはオーバーワークにならないような併せ馬で時計的にも十分。あとは春にあれだけの競馬をしたので、時計のかかる今の馬場がどうなのか。この馬場でも走るようなら、すごいなと思いますね

南関東3冠で見せた強烈なパフォーマンスを思えば期待の方が高くなりそうだが、陣営は当時と違う砂を懸念する。ダービーグランプリも歴代2位の好時計。理想は高速馬場だろう。今の砂でそれは期待できないが、まだ実戦で走ったことがないのも事実。追い切りの感触からは対応できても不思議はない。負け知らずの3歳馬が満を持して古馬に挑戦。今回も終わってみれば圧勝だったという可能性は十分に秘めている。