今年最後のG1、大井競馬場で行われた東京大賞典はグリ◎ウシュバテソーロが豪快な差し切りを決めてくれました。断然人気を背負い、道中は前にミックファイア、内にキングズソードという位置。リズムよく運び、最後の直線で末脚を爆発させました。

今朝の日刊スポーツの1面の予想でドバイワールドCについて、「馬のリズムを守り、ただ1頭、離れた最後方からのごぼう抜きは歴史に残る追い込み劇」と書きました。今、あらためて思います。戦略を練り、馬の能力を信じ、前年のドバイワールドカップで末脚勝負の経験を持っていた鞍上の仕掛け。(あくまで個人的に)今年の最も印象に残った騎乗を挙げるなら、現地で見た3月のドバイワールドカップ、ウシュバテソーロの川田騎手だと思います。

東京大賞典で2着に粘ったのは同じオーナーの△ウィルソンテソーロ。前走のチャンピオンズC週の取材、原騎手は同馬で結果を出してきた川田騎手に直接アドバイスをもらい、レースに臨むことを教えてくれました。「丁寧に教えていただきました。川田さんには普段からアドバイスをもらっています。以前、川田さんとすれ違ったときに、体形が似ているということを言っていただいて、それからです」。

ジョッキーは体格もフォームもみなそれぞれ異なります。日本を代表する西の名手と、関東の若武者に似ているところがある…。こういう視点を記者はまったく持っていなかったので、とても勉強になりました。前走のウィルソンテソーロは後方から追い込んで12番人気2着。今回は積極的に運んだ2着。来年も大きな舞台で原騎手の手綱さばきが楽しみです。

ドバイワールドCのレース後、会見が終わったあとにウシュバテソーロの関係者に海外メディアがこんな質問をしました。「なぜ、日本馬はUAEダービーを簡単に勝つのに、ドバイワールドCを勝つのにはこんなに時間がかかったのか?」と。難問です。自分は「相手関係が違うから」と思いましたが…。今年のUAEダービーで日本馬の上位独占が強烈だったから、こういう問いが出たのかなと考えました。チャンピオンズCに続き、東京大賞典の3着にドゥラエレーデが好走。「デルマソトガケを筆頭に今年の日本の3歳馬がハイレベルだった」ことを証明したと思います。

今は美浦トレセンに移動中。今日は12月29日、明日は12月30日です。【木南友輔】