5番人気のリカンカブール(牡5、田中克)が初コンビを組んだ津村明秀騎手に導かれ重賞初制覇を決めた。勝ちタイムは1分58秒9。鞍上は5日に38歳の誕生日を迎えたばかり。

開業4年目の田中克典師(36)は騎手時代を通じて重賞初制覇となった。

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初コンビの津村騎手に迷いはなかった。近走は後方に構える競馬が多かったリカンカブールを積極的に絶好位の3、4番手に誘導。王道の競馬で直線堂々と突き抜け、明け5歳にして初の重賞タイトルをもたらした。「時計が速く前が止まらないので積極的に位置を取ることをイメージしてました。どんなレースでもできるという僕のイメージでいこうと。4角の手応えは抜群でしたね」。先入観にとらわれることなく、馬場傾向を冷静に分析。自らのセンスを信じた騎乗が大きな勝因となった。

前日5日に38歳の誕生日を迎えたばかり。前回の金杯制覇は09年、誕生日当日の京都金杯だった。今年は例年のバースデー開催ではなかったが、「久々に誕生日の金杯じゃなくて残念だけど気持ちがいいですね」と笑顔。「昨年は(勝利数が)キャリアハイだったので今年は昨年以上の結果を出したい」と24年の抱負を力強く語った。また、田中克師は騎手、調教師を通じ重賞初制覇。関係者から多くの祝福の声をかけられ、「うれしいですし、厩舎スタッフにとっても良かった」と喜びをかみしめた。

今後はG2、G1などさらに高いレベルでの戦いが視野に入る。師は「もともと重賞を取れそうな素質を感じていた。今年1年もっと飛躍してほしい」とさらなるレベルアップを求める。幸先良いスタートを切り、厩舎の看板馬としての戦いがここから始まる。【井上力心】

◆リカンカブール ▽父 シルバーステート▽母 アンブラッセモワ(ゾファニー)▽牡5▽馬主 (株)ラ・メール▽調教師 田中克典(栗東)▽生産者 辻牧場(北海道浦河町)▽戦績 10戦5勝▽総収得賞金 1億849万円▽馬名の由来 チリとボリビアの国境にある山の名前