古巣に恩返しの1勝だ。5番人気イフェイオン(杉山佳)が好位から押し切り、未勝利戦から2連勝で重賞初制覇。牝馬クラシック路線に名乗りを上げた。勝ち時計は1分34秒0。

管理する開業4年目の杉山佳明調教師(40)は、のべ29頭目の挑戦でJRA重賞初制覇。10年以上勤めた社台ファームの生産馬で決めた。

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イフェイオンが師の思いに根性で応えた。13番枠から好発を決め4番手で直線へ。残り200メートルで抜け出すと、1~4着がそれぞれ首差の大接戦を制した。杉山佳師は検量室前で関係者に飛び付き、喜びをはじけさせた。「暮れのG1も考えましたけど、西村(淳)騎手がフェアリーSに行ったら絶対に勝てると言ったので、信じてよかったです」と表情を緩めた。

縁深い勝利だ。競馬学校入学前は同馬を生産した社台ファームで10年ほど勤務。経験を積み、2010年からトレセンに飛び込んだ。喜びを伝えたい人には同ファームの吉田照哉代表を挙げた。この日競馬場には不在で「知識をたくさん学ばせていただいて調教師になれたと思うので、感謝を伝えたいです」と笑顔でスマホを握った。

今後は宮城・山元トレセンに放牧され、桜花賞(G1、芝1600メートル、4月7日=阪神)を目標にローテを模索する。師は過去2度G1に挑戦し、22年NHKマイルCで18番人気カワキタレブリーの3着が最高。「初めて見た時からこういう馬で桜花賞を使いたいと思っていました。G1も楽しみですね」。次は大舞台で恩返しだ。【桑原幹久】

◆イフェイオン ▽父 エピファネイア▽母 イチオクノホシ(ゼンノロブロイ)▽牝3▽馬主 (有)社台レースホース▽調教師 杉山佳明(栗東)▽生産者 社台ファーム(北海道千歳市)▽戦績 3戦2勝▽総獲得賞金 4581万8000円▽馬名の由来 ベツレヘムの星と呼ばれる星型の花の名前。