キングが東京でも躍動した。英国出身でオーストラリアを拠点とするR・キング騎手(33)がサクラトゥジュール(牡7、堀)を2度目の騎乗で重賞初勝利に導いた。勝ち時計は1分32秒1。

先月21日のAJCCを同厩舎のチャックネイトで勝ち、外国人女性騎手初のJRA平地重賞勝利を達成。舞台が替わった府中でもその腕を見せつけた。

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キング騎手が東京競馬場をジャックした。最内枠のサクラトゥジュールをスムーズに導き、長い直線へ。馬群の内でじっと抜け出すのを待ってからのスパート。他馬の間を縫いながら最内で逃げ粘りを図る前年覇者のウインカーネリアンを1歩ずつ追い詰めた。残り100メートルを切ってからは完全に大勢が決し、鞍上はステッキを使うことをやめ、追う動作のみでゴールイン。キング騎手は「前走中山(金杯12着)で乗った時よりも落ち着いていました。いい手応えで直線に入ることができて、スペースができてから素晴らしい末脚を見せてくれました。イメージ通りの競馬でした」と笑顔で答えた。

中山でも堀厩舎のチャックネイトでAJCCを制した。東京では土曜メインも今回と同様に他馬の間を狙って勝利。そしてこの日、JRA重賞2勝目を手にするなど、結果を積み重ねている。鞍上は「競馬以外でも楽しんでいます。どれが一番とかはありませんが、和食とかいろいろ。チェーン店よりもローカルなお店に行くことが楽しい」と充実の日本生活を送っている。

11日の共同通信杯では清水英厩舎のディマイザキッドに騎乗予定。昨夏のワールドオールスタージョッキーズでは、同厩舎のドーバーホークで日本初勝利。ここで縁ができた。「初勝利の厩舎にサポートしてもらえて感謝しています」。短期免許期間の3月5日まで、あとどれくらい日本の競馬ファンに腕を見せつけるのか。この勢いが止まらなければ、帰国日には女帝の異名がついているかもしれない。【舟元祐二】

◆サクラトゥジュール ▽父 ネオユニヴァース▽母 サクラレーヌ(シンボリクリスエス)▽牡7▽馬主 (株)さくらコマース▽調教師 堀宣行(美浦)▽生産者 谷岡牧場(北海道新ひだか町)▽戦績 24戦6勝▽総獲得賞金 1億6592万8000円▽馬名の由来 冠名+いつも(フランス語)。母母名より連想