これぞミルコマジックだ! ミルコ・デムーロ騎手(45)騎乗の1勝馬コスモキュランダ(牡、加藤士)が6番人気を覆し、2度目の挑戦で重賞初制覇を果たした。向正面から早めにまくって粘りの押し切り。クラシック候補に名乗りを上げた。

勝ち時計は1分59秒8で、16年にマカヒキが記録したレースレコードを0秒1更新した。2着シンエンペラー、3着シリウスコルトまでが皐月賞(G1、芝2000メートル、4月14日=中山)の優先出走権を手にした。

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してやったり-。M・デムーロ騎手が首を左右に振りながら、右手、そして左手とガッツポーズを繰り返した。伏兵コスモキュランダを粘りに粘らせ、ゴールまで先頭を死守した。「うれしいですね! 乗った瞬間から印象がとってもよかったですよ。けっこういい馬ですね!」と興奮しながら“ミルコスマイル”をはじけさせた。

策に出た。若干立ち遅れ中団外の7番手で向正面へ。前半1000メートルは1分0秒4。残り800メートル手前。鞍上は手綱をわずかに上下させた。「ちょっとペースが遅いかなと。今日は前残りの馬場。僕の馬はいつも最後まで頑張るから、道中動いた方がいいかなと思ったね」。芝の塊が飛ぶ馬場を苦にせず、身動きの取れない他馬を尻目に大外から位置を上げる。2番手で直線を向き、迫るシンエンペラーを1馬身1/4差退けた。

事前準備と経験、勝負勘がマッチした。初コンタクトを取ったパドックで、陣営から「最近ゲートが遅い」「器用じゃない」「遊んでいる感じ」と耳に入れた。「返し馬でも本当に感触がよかった」と好調を感じ取り、勇気を持って自身の引き出しを開けた。加藤士師も「馬の特徴をつかんでうまく乗ってくれました」と舌を巻いた。

G1・2着のシンエンペラー、4・5億円馬ダノンエアズロック、2戦2勝トロヴァトーレの評判馬を下し、一躍皐月賞の有力候補に駆け上がった。師は「使いながらよくなってきた。まだ緩いが、次もいい競馬をしてくれれば」と期待を膨らませる。今回がメンバー最多の7戦目。たたき上げの弥生賞馬と“ミルコマジック”が本番でも脅威となる。【桑原幹久】

◆コスモキュランダ ▽父 アルアイン▽母 サザンスピード(サザンイメージ)▽牡3▽馬主 (有)ビッグレッドファーム▽調教師 加藤士津八(美浦)▽生産者 ビッグレッドファーム(北海道新冠町)▽戦績 7戦2勝▽総獲得賞金 6641万4000円▽馬名の由来 冠名+オーストラリア北東部の熱帯雨林。世界遺産。

◆M・デムーロ騎手の弥生賞成績 8回目の騎乗で初勝利。これまでは16年リオンディーズでの2着が最高。JRA重賞は23年みやこS(セラフィックコール)以来で通算111勝目。07年から18年連続の重賞Vとなった。