勝因は先手必勝だ。5番人気コンクシェル(牝4、清水久)が逃げ切りを決め、3勝クラスからの連勝で重賞初制覇を果たした。勝ち時計は1分49秒0。鞍上の岩田望来騎手(23)は昨年のシリウスS以来のJRA重賞8勝目で、中山では同初勝利となった。

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根性を絞り出した。残り50メートル。コンクシェルが内シンリョクカ、外ククナの気配を感じ二枚腰を発揮。押し切り勝ちで左拳を握った岩田望騎手は「53キロと恵まれたので強気に行きました。重賞を勝つと勝てないのでは使えるレースも違ってくるので大きな1勝になったと思います」と誇った。

2つの分岐点で勝った。1つ目はスタート。「前走乗った時にスタートはいいですが、二の脚がつかないなと思ったので気合をつけてハナに行く選択をしました」。1角まで手綱をしごいて主張。主導権を握り、1000メートル通過61秒5のマイペースを刻んだ。

2つ目は3角。外から3頭が並んできたが「リズムを崩さず直線を向きました」。じわじわとロングスパートをかけ、後続の体力を奪った。直線は馬場のいい外めを選択。「追ってからも反応がありました」と力を出し切った。

千八で連勝し、4度目の重賞挑戦で念願をかなえた。春の芝牝馬路線の先々をたどればヴィクトリアM(G1、芝1600メートル、5月12日=東京)が頂にある。鞍上は「マイルでも競馬ができたら視野は広がると思います」と先を見据える。伸び盛りの4歳牝馬。タイトルをひっさげ、大舞台へと駒を進める。

【桑原幹久】

◆コンクシェル▽父 キズナ▽母 ザナ(ガリレオ)▽牝4▽馬主 前田晋二▽調教師 清水久詞(栗東)▽生産者 株式会社ノースヒルズ(北海道新冠町)▽戦績 16戦5勝▽総獲得賞金 1億678万3000円▽馬名の由来 ピンク色の美しい真珠を生み出す母貝。