栄光の記憶が紡がれた。(有)シルクホースクラブ主催の「アーモンドアイのJRA顕彰馬祝賀トークショー」が14日、都内で行われた。コロナ禍に重なった同馬の活躍を多くのファンと共有し、感謝の気持ちを伝えるべく、企画されたイベント。会場には多くのファンが集まった。

 

クリストフ・ルメール騎手、国枝栄師、そしてシルクレーシングの米本昌史代表、椎本英男助手、根岸真彦助手、ノーザンファーム天栄の木実谷雄太場長が参加。関係者らが現役時代、今のアーモンドアイを語った。

 

牝馬3冠達成後に臨んだ18年ジャパンCは世界レコードとなる2分20秒6で勝利。逃げたキセキを追走した2番手抜け出しには陣営も仰天した。国枝師は「本当に時計が壊れたんじゃないかと思っていた」と当時の衝撃を振り返った。それまでのレコードは05年アルカセットの2分22秒1。1秒5も更新した走りに、ルメール騎手も「(レコードを)全然…、考えていませんでした」とほほえんだ。

 

引退戦の20年ジャパンC直前。国枝師は一抹の不安を抱えていたという。「牝馬によくあるのが、ある程度、成熟してどっしりしてくるとパフォーマンスが落ちるという傾向がある。ジャパンCのあまりにもどっしりして、心配はありました。泰然自若というか、競馬で軽い走りができるのかと思っていました」。結果はその年の牡牝無敗3冠馬コントレイル、デアリングタクトを抑えての勝利。「本当にひとつの仕事をやり遂げて、本当にホッとしましたという感じでした」と振り返った。

 

母となったアーモンドアイの動画も上映された。今年は3番子となる父キタサンブラックの牝馬を出産。母性本能の強い、子馬優先の愛にあふれたお母さんだという。放牧地で軽やかに走る姿を見たルメール騎手が「まだ走れるみたい。筋肉がまだ乗っている。まだ強そう」と笑えば、国枝師は「でも、かわいそうだから。競馬場に戻すのは」と平穏な生活を送る姿に目を細めていた。