砂漠の国でアツい1週間を過ごしました。

ドバイワールドCデーが30日に行われ、22頭が参戦した日本馬は1勝。フォーエバーヤングがUAEダービーを制し、ケンタッキーダービーへの切符をほぼ手中に収めました。

レース当日はカメラを背負い、芝、ダート、検量室周辺を行ったり来たりしましたが、日本との違いを最も感じたのはレース前の環境です。装鞍所から馬道を通ってパドックへ向かいますが、馬がやって来ても人の波がなかなか落ち着きません。場内は大音量のBGMが流れ、空には演出用のプロペラ機が飛んでいました。馬場へ向かう通路にも頻繁に人が通り、異様な雰囲気にちゃかつく日本馬を多く目にしました。

一方、当然といえば当然ですが、地元UAE所属馬は平気な様子でレースへ臨んでいました。ドバイワールドCに臨んだカビールカーンに対しては場内の声援がひときわ大きく、デビュー地カザフスタンの国旗を持ったファンも多く見かけました。地元メディアも殺到する中、何食わぬ顔で人混みをかき分け堂々と馬場へ入る様子に、肝の据わり方の違いを強く感じました。聞けば当週も滞在していた外厩は都心にあり、カビールカーンの厩舎の近くにはホテルがあるそうです。

事前の予想では後半3レースで日本馬が上位を総ざらいしていく、と見立てていました。2、3着に多数入り“善戦”とも捉えられますが、昨年イクイノックスが世界一の評価を得たように、世界的にも上位のレベルを持つ日本馬が1勝に終わったことに、悔しい気持ちが湧いていることも確かです。原因がどこにあるのか、冷静に分析し、日を改めて紙面などでまとめたいと思います。

個人的には紙面予想した4レース中、メインのドバイワールドCを△→◎→△でかろうじて仕留め若干ほっとしていますが、海外馬への取材が甘く、穴馬を押さえられなかったことが一番の反省です。週中で見解をうかがった海外競馬取材歴16年のオーストラリアのホーキンス記者はローレルリバーを見事に本命指名。さすがの一言です。

この記事を書いている今現在、ドバイは正午を過ぎたところ。記事執筆が一段落したので、世界一の高いビルの「ブルジュ・ハリファ」へ行ってきます。世界一の景色はどんなものか、一心不乱に駆け抜けた1週間を振り返りながら、ドバイの風を存分に浴びたいと思います。皆さま、1週間お付き合いいただき、ありがとうございました。現地ドバイで取材に協力していただいた関係者の方々にも、この場を借りてお礼申し上げます。【桑原幹久】