川崎の夜を地元の光の戦士が照らした。レース史上初のナイター開催となった第73回川崎記念は、7番人気ライトウォーリア(牡7、内田勝)が頭差逃げ切り、G1初制覇を果たした。地方馬の勝利は21年カジノフォンテン以来3年ぶり、地元川崎所属馬では04年エスプリシーズ以来20年ぶりの快挙。勝ち時計は2分15秒5。鞍上の吉原寛人騎手(40)は川崎記念初勝利、管理する内田勝義調教師(69)は自身がジョッキー時代に制した83年カネシヨウスーパー以来、調教師としては初勝利となった。

大歓声が待ち受ける川崎の直線。ファンの視線と声援は川崎所属のライトウォーリアに向けられた。相手はもちろん中央勢。2周目3角から早めに仕掛けてきたアイコンテーラーを競り落とし、最後は中団の外から差してきたグランブリッジを振り切ったところでゴール板に届いた。殊勲の鞍上吉原寛騎手は右手で1本指を作り、川崎のファンに向けた。鞍上は「一瞬、危なかったが、しのいでくれました。長かった」と激戦を振り返った。レースを見守った内田勝師は「夢のようですね。えらい子です。ゴールまでどきどきでした。ジョッキーも本当にうまく乗ってくれました」と相好を崩した。次走は未定だが、中距離G1を制覇した。全日本の古馬ダート戦線に川崎の星が輝く時が来た。【舟元祐二】

 

■ライトウォーリア▽父 マジェスティックウォリアー▽母 スペクトロライト(ディープインパクト)▽牡7▽馬主 (有)キャロットF▽調教師 内田勝義(川崎)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 30戦9勝(うち中央17戦5勝)▽総獲得賞金 2億6219万9000円(うち中央8167万9000円)▽主な勝ち鞍 22年埼玉新聞栄冠賞(S3)、勝島王冠(S2)、24年報知オールスターC(S3)▽馬名の由来 光の戦士。父名、母名より連想

 

単勝1・7倍の1番人気セラフィックコール(牡4、寺島)は5着に敗れた。道中は4、5番手。2周目3角から懸命に追い上げを図ったが、なかなか差は詰まらず、最後は上位争いから離された。ムルザバエフ騎手は「ダイオライト記念のイメージで乗ったけど、砂の質が違ってキックバックに反応しました。馬自身リズムを整えられず、それが最後まで影響したかな」とコメントした。

 

●勝負服

〈グランブリッジ=2着〉川田将騎手 とても具合よく、男馬相手のJpn1で、よくここまで頑張ってくれたなと思います。

〈アイコンテーラー=3着〉松山弘騎手 手応えよく、自分の形の競馬ができました。1度先頭に立っているんですけど、ちょっと気の悪さを出してしまったのか、最後は悔しい結果になりました。

〈ディクテオン=4着〉本田正騎手 返し馬から具合の良さが伝わってきたけど、道中が進まなかった。出していくとしまいが甘くなるというので、そのさじ加減が難しかった。着差がそんなにないので悔しい。

〈ノットゥルノ=6着〉武豊騎手 つかみどころがないというか、よく分からないですね。こういう馬場状態もどちらかというと得意。道中もいい感じ。考えられるのは左回りぐらいしか…。乗っていては感じないんだけどね。

〈シルトプレ=7着〉石川倭騎手 道中はしまいを伸ばす感じで進めていた。もうちょっと早めに上がっていきたかったですけど、今年初戦で多少割り引きは必要ですし、次に向けて頑張っていきたいです。

〈デルマルーヴル=8着〉山崎誠騎手 いい競馬はできましたね。ちょっと積極的に乗ってみたけど、それでもしまい脚はあった。

〈グロリアムンディ=9着〉坂井瑠騎手 いい位置に付けられたけど、ペースが上がった時に手応えがなくなって、付いていけなくなりました。