これぞG1仕上げだ! 桜花賞(G1、芝1600メートル、7日=阪神)の最終追い切りが3日、東西トレセンで行われた。G1注目馬の調教を掘り下げる「追い切りの番人」では、大阪・奥田隼人記者がコラソンビート(加藤士)をチェックした。関東馬ながら、トライアルのフィリーズレビュー前から栗東に長期滞在中。中間は豪華な併せ馬も消化し、桜の女王戴冠へ態勢を整えている。

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今年の桜花賞は、阪神JFの上位3頭がいずれも栗東滞在で調整を進めている。1着アスコリピチェーノ、2着ステレンボッシュ、そして3着のコラソンビートだ。

直行ローテーションの1、2着馬に対し、逆転を狙うコラソンビートは前哨戦のフィリーズレビュー前から1頭だけ早く栗東に入り、約1カ月半の長期滞在で態勢を整えている。

それだけでも好感が持てるが、この中間はさらに本気度が伝わる調整過程だ。1週前の3月27日はホープフルS2着馬シンエンペラー(牡3、矢作)との併せ馬を消化した。4馬身追走して、半馬身先着(6ハロン79秒8-11秒7)。馬なりで圧倒してみせた。担当の伊藤助手が矢作厩舎スタッフと交流があって実現したもので、同助手は「強い相手と戦わないと、強くならないからね。感謝しかない」と強力なサポートに頭を下げる。

同世代屈指の牡馬と互角以上の動きを見せたのは、長期滞在で少しずつ力をつけてきたからこそ。美浦よりも負荷がかかるという栗東の逍遥(しょうよう)馬道を日々歩き、体はたくましさを増した。「体つきは筋骨隆々になった」と同助手。「今回は勝ちにいく。その一言しかない」と気合を見せる。

最終追いとなったこの日はCウッド単走で6ハロン79秒2-11秒6を馬なりでマークした。見守った加藤士師は「今週はあまりやりたくなかったけど、時計は出ちゃったね」と苦笑い。それでも「最初から最後まで我慢させての時計だし、調子がいいのだと思う」とうなずいた。

オーナーの意向もあって使った前走のフィリーズレビュー(2着)は、立ち上げから関節炎の症状も見られたという。今回は普段通りのメニューをこなし「前回は慎重になっていたが、それでいてあの競馬。ポテンシャルは高い。今回は毛づやも良く、いい状態で臨める」と期待。逆転女王へ、渾身(こんしん)のG1仕上げを結実させる時だ。【奥田隼人】

◆阪神JF1~3着馬の桜花賞成績 過去10年で1着馬は【2 3 1 3】で21年ソダシ、23年リバティアイランドの2頭が桜花賞とのダブルG1制覇に成功。2着馬は【2 2 2 4】で14年ハープスター、15年レッツゴードンキが勝利。3着馬は【1 1 0 7】で17年にレーヌミノルが桜花賞馬に輝いている。