逆転ヒロイン! 2番人気のステレンボッシュ(国枝)が阪神JF2着のリベンジを果たし、G1初制覇で桜の女王に輝いた。

中団追走から直線は馬群の外を力強く突き抜けた。初コンビの“マジックマン”ジョアン・モレイラ騎手(40)は、リスグラシューで制した18年エリザベス女王杯以来のJRA・G1・2勝目。国枝栄調教師(68)は桜花賞3勝目。今後は2冠目のオークス(G1、芝2400メートル、5月19日=東京)を目指す。

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ターフを彩る満開の桜に見守られ、見覚えのある白のシャドーロールが躍動した。

国枝師が送り出したステレンボッシュが、中団外めから直線強襲。初コンビだった“雷神”モレイラ騎手のアクションに応え、阪神JFで首差敗れたアスコリピチェーノを逆転した。鞍上は「乗ってからいい感じで、プロフェッショナルと感じた。満足いくポジションが取れ、直線の手応えも良く素晴らしい脚を見せてくれた」と笑顔で振り返った。

前走の阪神JF時は、中2週とタイトなローテーション。栗東滞在で調整したが、少しテンションが上がる面もあった。今回は直行ローテを選択し、レースの3週以上前から栗東滞在でじっくり仕上げた。「いい馬で期待していた。それをちゃんと証明できるか心配だったけど、良かったと思う」と安堵(あんど)の国枝師。「一番は馬が落ち着いていて、調教もレースもうまく運べた。体の張りも良く、筋肉もついていた」と勝因を挙げた。

“牝馬の国枝”とも称される師は、これで桜花賞3勝目。10年アパパネ、18年アーモンドアイはいずれもその後、牝馬3冠を達成した。2頭との比較を聞かれると「感じている手応えは同等のものがあると思う。まずは無事にいってくれて、もうひとつプラスできれば」と大きな期待を込める。

次なる目標はもちろん、牝馬クラシック2冠目のオークス。未知なる2400メートル戦となるが、モレイラ騎手は「今回は強い勝ち方で、道中もリラックスして走れていた。距離は延びても問題ないと思うし、これからも楽しみ」と先を見据えた。国枝師も「馬体を見ても、落ち着きを見ても、2400メートルは全く問題ないと思う。このままいきたいね」と自信をのぞかせた。厩舎3頭目の牝馬3冠へ、仁川はまだ通過点に過ぎない。【奥田隼人】

◆ステレンボッシュ ▽父 エピファネイア▽母 ブルークランズ(ルーラーシップ)▽牝3▽馬主 吉田勝己▽調教師 国枝栄(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 5戦3勝▽総獲得賞金 2億1546万8000円▽馬名の由来 南アフリカの都市名