10年前、そして10年後の自分とは-。和田竜二騎手の長男・和田陽希騎手(18=杉山晴)は、今年3月にJRA騎手としてデビューした。
初めての夏競馬は函館に滞在して“北海道シリーズ”を戦い、デビューからここまで6勝を挙げる。和田陽騎手は10年前、今の自分が想像できていたのか。そして10年後、28歳になった自分は…。現役騎手の息子としてデビューしたルーキーの過去と未来に迫った。
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今から10年前、当時8歳だった和田陽希少年は、米ロサンゼルスのサンタアニタパーク競馬場にいた。父の竜二騎手とともに渡米。競馬の開催自体は行われていなかったが、競馬場のスケールに圧倒された。
「小さい頃はあまり競馬に興味がなかったんですが、アメリカの競馬場を見て、素直に『ここで乗っているジョッキーを想像するとかっこいい』と思いました」
父と、いとこ(和田翼騎手)が騎手で、祖父、伯父も厩舎関係者という競馬一家に生まれた。ただ、幼少期はブロック玩具で遊ぶことにハマり、将来の夢は玩具店の店員だった。10年前の渡米時も、カリフォルニアにあるレゴランドに行きたかったという。そんなごく普通の少年は今から7年前、11歳の時にジョッキーを志すことになる。18年6月、ミッキーロケットで宝塚記念を勝った父を見て、自分が騎手になった姿を想像した。
「ミッキーロケットで父が勝った時は現地で見ていました。競馬にあまり興味がなかったので、宝塚記念がどんなレースかあまり知らなかったんですけど、かっこいいと思いましたし、ちょうど乗馬を始めた時だったので、本格的に騎手を目指すようになりました」
それからは夢の実現に没頭した。騎手になるための近道だと考えて「JRAジュニアユース」を受験。「落ちたら騎手の道は諦める」と決意し、努力を重ねて合格した。競馬学校生時代は積極的に木馬にまたがった。栗東での厩舎研修で自宅に帰った際は、父と一緒に自宅前の坂をダッシュするなど親子でトレーニングに励んだ。いつか憧れの父を超えたい。その思いが陽希少年の原動力だった。
デビューして約半年がたった今、JRA勝利数は6勝。「現実は甘くないです。もっと頑張らないと」。目標とする騎手は父に加えて、R・ムーア騎手とW・ビュイック騎手。騎乗フォームを参考にするため、海外の競馬も欠かさず見ているという。現在は、彼らに共通する太ももの力強さを手に入れるべく、木馬に乗り、時には父にアドバイスをもらい、トレーニングに取り組む。
将来は想像もつかない。10年前にジョッキーになることを想像できなかったのと同様に、28歳になった自分を想像することはまだできていない。ただ、目標とする姿はある。
「世界で活躍する騎手になっていたいです。夢は凱旋門賞を勝つことなので、その夢に1歩でも近づいていたいと思います。そのために、騎手としての基本的な技術をひとつずつ磨いて、極めていきたいです」
デビュー3年目で、のちにG1・7勝を挙げる名馬テイエムオペラオーと出会った父のように-。和田陽騎手の挑戦はまだ始まったばかりだ。【藤本真育】

