神奈川県の山奥に奇跡の「ユーシン・ブルー」がある―。

 WEB写真で見た噂のそれは、確かに奇跡の色。でも、自分の目で確かめなければ!という妙な使命感に常日頃駆られている私は、公休消化の8月4日、買ったばかりの「ドラゴンクエスト11」への没頭より、己の冒険を選びました。

 目的地・ユーシン渓谷への拠点は、神奈川県山北町の丹沢湖畔。玄倉(くろくら)バス停と、その隣に臨時駐車場があり、訪れた人全てがここから徒歩で6・3キロ先のユーシン・ブルーを目指します。噂によると往復4時間。ストップウォッチを押し、歩き始めます。首都圏の水不足は丹沢湖でも如実。水位はだいぶ下がっていました。


湖底を調査?する人がいるくらい丹沢湖も水不足
湖底を調査?する人がいるくらい丹沢湖も水不足

 約10分歩くと、玄倉第一発電所へ。このあたりでも水は十分に美しい色。ただ青というよりは緑。前夜の雨が影響しているのでしょうか、少し不安になります。なお、この日の天気は青空なしの曇り。ユーシン・ブルーの青さが、空の青さを投影したものでないことを祈りながら、流れ出した汗を拭いながら進みます。


条件が揃えばこのあたりでも十分に美しい色のはず
条件が揃えばこのあたりでも十分に美しい色のはず

 大人の指導の下、川へ飛び込んだりして遊ぶ子どもたちがいました。これだけの透明度なら気持ちいいことでしょう。首都圏から日帰りできる場所にこんな自然があることが、山岳国・日本の長所かもしれません。キャンプにも最適の場所。ただ、玄倉川のキャンプではかつて、悲しい水難事故で多くの命が失われました。上流にダムがあるということは、いつ川の増水があってもおかしくないということ。道中、増水の警告看板がたくさん立っていました。


玄倉川に飛び込んで遊ぶ子どもたち
玄倉川に飛び込んで遊ぶ子どもたち

下の画像はタップすると拡大します

  • 普段はキャンプ地としても人気の玄倉川
普段はキャンプ地としても人気の玄倉川

 ミンミンゼミ、アブラゼミ、ツクツクホウシの無秩序交響曲をBGMに、森の中を歩きます。やがて車両が完全通行止め(許可車以外)になります。ここまで出発から35分。クマ出没注意の看板が気になります。実はここに着く少し手前、ニホンジカと遭遇。急斜面を一目散に逃げていきました。山に入るとは、彼らの生活圏に入るということ。油断はできません。


距離でいくと出発からここまで3キロ
距離でいくと出発からここまで3キロ

 だから、前方に人の姿を見つけると「彼らが無事ということは、この先しばらく脅威はないのだな」と安心できます。すれ違いざまに「こんにちは」と挨拶しあうのが、山歩きのいいところ。みんな、ユーシン・ブルーの場所から戻ってきているはず。「お願いだから、どうだったか、本当に青かったか、感動したとか大したことなかったとか、感想を言わないで…」と心の中で願います。


ユーシン渓谷往路では3組とすれ違いました
ユーシン渓谷往路では3組とすれ違いました

 残り2・5キロ地点の長い登り坂を制覇すると、いよいよユーシン・ブルーが近くまで迫っています。【金子B】  <次回に続く>


「玄倉バス停」へ行くには?

 新宿駅から小田急線で約1時間の新松田駅で下車。駅北口から富士急湘南バスの「西丹沢ビジターセンター」方面のバスに乗車し、約45分。バスの頻度は往復とも1~2時間に1本という程度。車では東名高速・大井松田ICから約20キロ。バス停近隣に臨時駐車場があります(合計100台分程度)。カーナビでは「山北町玄倉515」に住所設定を。