“アユの友釣り発祥の地”として知られる静岡・狩野川が11日、アユの解禁日を迎えた。午前3時ころ、中流部に位置する「旭水園」には、解禁を待ちわびるファンが集結。日の出前の4時には川に入って場所を取り、日の出とともにサオを出した。

全国的にその名をとどろかせる「旭友会」の花井城助会長(77)もその1人だ。昨年の解禁日は、前日の雨による増水のせいもあって釣果はいまひとつだったが、「昨日、川を見たけど、今年は魚が多そう。特に分流がよさそうですね」と笑顔で話した。

誰よりも速く川に入り、分流の狙っていたポイントをゲット。午前4時半ころからサオを出したが、ここでは釣果なし。20分ほどで見切りをつけ、移動しようとしたが、後から川に入った同石井良秋事務局長(65)の「上から見ていたけど魚はいる。そこでやった方がいい」の助言で、20メートルほど下流に移動。サオを出して5分ほどで1匹目を掛けると、その後わずか30分ほどで6匹をゲット。まさに“入れ掛かり”状態となった。

結局、正午までに22匹を掛けた。「去年は水が出てしまったけど、今年は全然(川相が)違う。水温も高めで魚も多い。まずまずの解禁ですね」と話した。最初のポイントは「ちょっと流れが速かった」と苦笑。その後入ったポイントは「1本流れが強い筋があるけど、その周りが小石や砂になっているところ」と説明。「食み跡のある石が少ないのでまだ群れアユが多い。でも(釣れた)半分は天然アユなので、今年は長く楽しめそうです」とほほ笑んだ。

石井さんは「旭水園」下流に掛かるつり橋上流部の本流を攻めた。「15~16匹釣れたかな。20センチオーバーが結構掛かって、上げるのが大変だった。昔に比べるとだけど、解禁日としては上々だと思いますよ」と話した。また、「旭水園」前の本流を攻めた佐藤新一さんは、午前5時半から午前10時の釣行で計33匹、最大23・5センチを釣り上げた。

この日、午前11時時点で約400人(狩野川漁協調べ)が解禁を楽しんだ。同時刻の気温は25度、水温16・5度と好条件だった。同漁協では5、6月に2・4トン以上を放流。7日の試し釣りでは、6カ所で計10人が1時間で69匹を釣り上げた。最多は田沢橋付近の2人で24匹、最大は嵯峨沢橋付近と旭日橋付近の20センチだった。