ロカボって知っていますか? ご飯やパンなど糖質が多い食事を控えめにするロー・カーボハイドレート(低糖質)の略語です。緩やかな糖質制限食のロカボを提唱する東京・北里研究所病院の山田悟・糖尿病センター長(46)が、おなかいっぱい食べてもやせられる「ロカボでダイエット」を教えてくれます。

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 私たちは、200人にロカボの指導をした結果をまとめました。

 もともとの体格別に分類すると、BMI(体格指数)が大きく、肥満度が高い人ほど糖質を1食20~40グラムに抑えるロカボによって大きく体重を減らしました。体格が普通の人は体重に大きな変化はありませんでした。やせている人は、なんと体重が増えていました。

 血糖値の管理指標になるHbA1cは、どの体格の人でもロカボでちゃんと下がりました。食後の血糖を調べると、糖質は100%血糖値を上げます。脂やタンパク質は血糖を上げません。正確に言うと、血糖値を下げやすくします。

 これまで健康に良いと信じられていた腹八分目、カロリー制限の世界では、体重が落ちるだけ頑張らなければ血糖の改善は起こらないとされていました。ところが、ロカボの場合、やせている人は筋肉をつけ、体重を増やしながら血糖を改善できたわけです。

 ロカボは血糖を改善する、血圧を改善する、血液中の脂質を改善する、太っている人は体重を減らします。まさにメタボ対策になります。

 一方、やせている人はロカボで筋肉がついて、標準体重に近づく。寝たきり予備軍のお年寄りにはロカボで筋肉や骨を強化することによって、骨粗しょう症の予防やロコモティブシンドローム対策になります。

 緩やかな糖質制限食のロカボは、太っている人からやせている人まで、すべての体重のグループに理想的な食事だと言えます。

 ◆山田悟(やまだ・さとる)1970年(昭45)1月1日生まれ、東京出身。慶応大学医学部卒。東京・港区の北里大学北里研究所病院糖尿病センター長として、糖尿病患者のQOL(生活の質)向上を目指す。緩やかな糖質制限食ロカボで、おいしく食べて健康に-を目標に2013年11月、一般社団法人「食・楽・健康協会」を設立し、ロカボの普及に努めている。