「1球の重み」。二つのシーンで目についた。日本ハムが3点を先制し、さらに1死一、二塁の初回。“おせおせ”の展開で、石井は2ボール1ストライクからの4球目、ワンバウンドする変化球を空振りした。

打者有利のカウントであり、直球に絞って振りにいく姿勢はいい。だが真っすぐ狙いでも、「コンパクトに」という意識があれば、相手の“振らせる変化球”を見逃せたかもしれない。四球は出したくない場面で、3ボールになれば、さらに打者有利な状況に持って行ける。高いレベルを求めるようだが、レギュラーを取るには、その壁を越えていかなければいけない。

9回、代打で出場した清水は、初球の直球を簡単に見逃してストライクを取られた。続く2球目は、焦って内角厳しいボールを空振り。最後は三振に終わった。打者が自分の形でスイングができるのは、追い込まれるまでの「2回」だけ。そのうちの1つを、あっけなく手放してしまうのはもったいないし、自分が苦しくなる。特に1打席しかない代打での出場。心と体の準備が足りなかったのでは? 若い選手には「1球の大事さ」を感じて欲しい。(日刊スポーツ評論家)

日本ハム対巨人 しぶい表情で投手交代を告げる栗山監督(撮影・黒川智章)
日本ハム対巨人 しぶい表情で投手交代を告げる栗山監督(撮影・黒川智章)