藤川不在の状況で、阪神は勝ちパターンの再編を強いられた。打線の組み替えはそう難しいものではない。打者は7度打ち損じても、いいバッターといわれる世界。しかし7回以降の投手の組み替えは、勝敗に直結するだけに、監督にとって、かなり難しい作業だ。この日の戦前から、7回の人選が試合のウエートを大きく占めると見ていた。そういう点では、新しいスタイルを作ろうとする矢野監督の強い意志を感じた。

秋山を続投させるかは難しい判断だったと思うが、打順の巡りもあり、6回での降板を先に伝えていたことがベンチの雰囲気からうかがえた。1点差でも馬場に任せる考えだ。馬場は、フォークボールの精度という点で、ワンバウンドになったり、抜けたりと不安定だったが、スピードガン以上に、球の強さを感じた。3点差で開き直れたのか、腕はしっかりと振れていた。1点差での投球を見たかったが、3者凡退は自信になる。遊ゴロ、三ゴロ、三振で、打球を遠くに飛ばされていない点でも内容としては良かった。

7回を務める投手に求められるのは、オールマイティーの要素だ。勝ちパターンだけでなく、1点ビハインドや同点でも登板するケースがある。連投もある。今年は延長10回で打ち切りなので、先発が7回まで投げた場合、10回を7回の投手がいくこともあるだろう。柔軟性のある投手が使いやすい。現状でブルペンの顔ぶれを見ると、馬場になるのだろう。

今年の矢野監督は、打線のテコ入れに見られるように、早めに動く。普通、監督というものは打ち出した構想を簡単には変えられないものだが、撤回する勇気も必要。この日の投手起用もそうだが、いい決断で評価できる。ただし、馬場も常に状態がいいわけではないし、今後、スアレス、岩崎もどうなるか分からない。もう1人、2人、ブルペンを担う投手を作るために、機会を与えながら、早め早めに次の手を考えていくべきだ。(日刊スポーツ評論家)

阪神対ヤクルト 7回、2番手で登板の馬場は無失点に抑える(撮影・上山淳一)
阪神対ヤクルト 7回、2番手で登板の馬場は無失点に抑える(撮影・上山淳一)