阪神が目前にあった16年ぶりの優勝がついえた。

中西 今シーズンは優勝する絶好のチャンスだったからショックは大きい。今年優勝しないといつするんだ? といったV逸になった。今年と同じ五輪イヤーに13ゲーム差を巨人にひっくり返された08年を引き合いにだされるが、あの年は主力選手を代表チームに供出していたが、今年は五輪期間にペナントレースが中断したから状況が違っている。どのチームも条件は同じだったはずで、あれだけ開幕から勢いづいて戦っていたのに、まんまと逆転されてしまった。

シーズン最終戦ではあっさりと完封負けを喫した。

中西 攻めきれなかった。中日小笠原の球は走っていたが、厳しくないボールもあった。そこを崩せなかった。マルテ、大山ら主軸が打てないと、やはり打線は淡泊に映ってしまう。ヤクルトは山田、村上という軸がどっかと構えているが、阪神は脇を固める選手は複数いても、結局は「4番」に固定する人材はいなかった。サンズの2軍降格は尻上がりのヤクルトの助っ人とは対照的だ。また後半戦はなかなか“足”を使えなかったし、守備でもリーグワーストの失策数は変わらなかった。シーズン途中に失速した佐藤輝に対する指導法もどうだったのかも点検する必要がある。

阪神ベンチは中日に先取点を許すと、青柳から小刻みな継投で防戦に出た。

中西 青柳からの早めの継投はわかるが、及川からのスイッチは馬場ではなく、リリーフの優先順位としてアルカンタラだったはずだ。ここにきて野手では近本の故障が響いたし、ピッチャーは西勇が不調だった上に終盤の右肘痛で、チームは「エース」不在だった。左の高橋もシーズンを通して投げてこそ戦力といえるはずだった。

阪神はクライマックスシリーズで3位巨人と対戦。

中西 簡単に切り替えられるようなシーズンではないし、巨人も短期決戦では怖い相手だ。92年も最後まで優勝争いをして惜しいV逸といわれたが、その後、チームは低迷した。阪神はポストシーズンを戦いながらも、同時にチーム作りのやり直しになる。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】