今年の大谷のホームランで一番印象に残っているのは、11日のカブス戦で打った47号だ。打った瞬間、右中間に抜けると思った。打ち出しの角度が高くなかったからだが、そのままライナーでスタンドへ入った。テレビで見ながら、思わず「すげー」と声が出てしまった。

データを調べたら、打球角度19度は今季でもっとも低いホームランだった。速いとも思ったが、打球速度118・1マイル(約190キロ)は自身3番目の速さだという。どちらの数字にも納得した。あの角度でホームランになるとは、やはり普通ではない。日本のプロ野球だと、ベンちゃん(現中日打撃コーチの和田一浩氏)が打ったのを見たぐらいだ。甲子園の阪神戦で、藤川球児から打った。ライナーでバックスクリーンに飛び込むのを見て、ベンチで笑ってしまった。ありえないものを見たからだが、大谷の47号も、もし現地で見ていたら笑っただろう。

なぜ、あのようなホームランが打てるのか。トップからインパクトまでのスイングスピードに加え、インパクト後のボールの運び方も挙げられる。力だけではない。スピードと技術も備えた大谷だから打てた。しかも、球種は左ピッチャーのスライダー。ベンちゃんのホームランが藤川球児の150キロだったように、速球であればボールの力を利用することもできる。大谷は変化球を捉え、あのようなホームランを打ったことも特筆したい。

もちろん、球場によってはフェンスに阻まれたかもしれない。そうだとしても、あそこまで飛ばした時点で驚くしかない。1本を選ぶよう言われ、真っ先に挙がる1発だった。(日刊スポーツ評論家)