下克上へのカギは-。阪神は12日からクライマックスシリーズのファーストステージDeNA戦(甲子園)に臨む。

日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(43)は古巣タイガースの決戦突入を前に「どれだけ勢いを手に勝ち上がれるか」に注目。2年連続の日本一を狙う以上、「普通」ではなく「意外」な勝ち上がり方を期待した。【聞き手=佐井陽介】

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今季の特徴を鑑みれば、阪神はロースコアの接戦、DeNAは打ち合いに持ち込みたいイメージでしょうか。リリーフ陣の層が厚い阪神からすれば、同点以上で終盤に入れば一気に勝利の確率を高められそうです。ただ、タイガースの大目標はファーストステージ突破ではなく、2年連続の日本一に他ありません。そう考えた場合、ファーストステージは「勢い」を手にして勝ち上がりたいところです。

レギュラーシーズン2、3位のチームは、ファーストステージを勝ち上がっても「1敗」を抱えてファイナルステージを開幕します。しかも舞台は王者巨人の本拠地、東京ドーム。そんなビハインドをはねのけるためにも「勢い」が必要です。もちろんロースコアで1、2点のリードを守り切る2勝でも、ファーストステージを突破できれば第1関門突破には違いありません。ですが、欲を言えば、打線が爆発しての完勝2つが理想だと感じます。

巨人投手陣は必ずファーストステージの戦いをチェックして打者の状態を確認します。そこで「1球でも失投したら痛打される」「少しでも甘く入れば外野まで持っていかれる」と印象づけられれば、間違いなく重圧をかけられます。もし阪神打線が広い甲子園で何発か本塁打を放って勝ち上がれば、巨人投手陣は相当なプレッシャーを感じながら狭い東京ドームのマウンドに上がることになるでしょう。そんな状況を作っておけば、ファイナルステージを勝ち抜く確率も上げられる、ということです。

ファーストステージで戦うDeNAは今季、乱打戦には強いけれど、勝てる接戦を落としてしまうケースも少なくありませんでした。にもかかわらず短期決戦でロースコアを制して勝ち上がれば、「あれっ、レギュラーシーズンよりも勝負強くなっているぞ」と重圧を与えられます。逆に阪神は接戦には強いけれど、打ち勝つイメージはそこまで強くはありません。だからこそ、打ち勝てば巨人を驚かせることができます。「普通」ではない「意外」な勝ち上がり方を決めて、巨人のアドバンテージに勢いで対抗したいところです。

ファーストステージの先発予想は初戦が阪神才木投手とDeNA東投手、2戦目が阪神高橋投手とDeNAジャクソン投手ですか。名前だけを見ればロースコアの接戦になりそうな気がしますが、予想を覆してこそ阪神にも勢いが生まれます。1、2番が好機をつくって、得点圏打率が高いクリーンアップが返す-。そんな理想的な形を2、3回作るも良し、2、3本アーチを架けるも良し。打線が絶好調だという印象を植えつけながら勝ち上がれれば、言うことはありません。

巨人のファイナルステージ初戦先発は戸郷投手が予想されています。もちろん難敵に違いありませんが、「甘く入れば打たれる」と意識を持たせられれば、四球の確率を増やせられるかもしれません。余分な走者を1人でも多くためられれば、阪神打線は1点を2点、2点を3点にできる可能性を高められます。さらに戸郷投手を攻略できれば、2戦目先発が予想される菅野投手ら他のメンバーにもプレッシャーをかけられます。このようにファーストステージから相手に重圧を与え続けた先に、下克上の日本一が待っています。

レギュラーシーズン2、3位チームのメリットは、優勝チームより先に真剣勝負を2、3試合戦える点にあります。この間にどれだけ勢いを手にして勝ち上がれるか。ここにキーポイントがあると考えます。(日刊スポーツ評論家)

【イラスト】クライマックスシリーズ、日本シリーズの日程
【イラスト】クライマックスシリーズ、日本シリーズの日程