この試合までセ・リーグの防御率トップのDeNAケイが、阪神戦に先発した。昨年、来日1年目のケイは「荒れ球」で、力で抑えるしかない左腕だったが、昨年の後半戦ぐらいからイメージが変わっている。特に右打者の内角へ、カット、スライダー、真っすぐを投げ分ける制球力が良くなり、今季は「ちょっと打てそうにない」と思える投手に成長した。そんなケイに対し、今季は2試合14イニング無得点の阪神打線がどう挑むのか? そこが焦点になると思っていた。
これまで、ケイの阪神戦は勝ち負けこそついていなかった。しかし、2試合無得点が続くと、阪神ベンチは徹底した指示が出しやすくなる。選手自身も自由に打って点が取れないのだから、ベンチの指示に従うしかない。今試合では左打者に徹底して逆方向へ打ち返す指示が出ていたと思う。
功を奏したのは5回だった。先頭打者の木浪が流し打ってレフト前ヒット。2死となって、近本も2ストライクに追い込まれながら外角スライダーを逆方向のレフト前へ運ぶタイムリーを放った。このヒット以外でも、6イニング投げたケイから記録したヒット5本は、すべて左打者が逆方向に放ったものだった。
1点しか奪えていないだけに、攻略したとは言えない。しかし試合前まで防御率が1・10の左腕。今試合も好調で、6回1得点で黒星を付け、チームが勝利したのなら上出来の結果と言えるだろう。
ただ、スタメンオーダーで4番の佐藤輝をライトにし、サードにはヘルナンデスを起用したのは疑問だった。今試合前までケイは右打者を1割9分8厘に抑えているが、左打者には2割5分打たれている。左打者にも内角を投げるが、制球力はいまひとつ。左打者に逆方向へのバッティングを強制するほどでないが、リーグを代表するような投手に成長している左腕に対しての指示は必要だろう。
ヘルナンデスの打撃スタイルで目につくのは、打ちにいく時に左肩を極端に内側に入れて打ちにいくこと。下半身もスクエアから少しだけ踏み込んで打ちにいくタイプで、この手の打者は内角に食い込んでくる攻めを苦手にする場合が多い。ケイのような投手は最も苦手にしそうで、試合でも3打数無安打2三振だった。試合前、ケイ対策として左打者に明確な指示を出したのなら、ヘルナンデスが打てそうか、打てなさそうか分かっていたのではないか?
主力でもある佐藤輝をサードから外野に起用するリスクを取るなら、キャンプでも外野で守備練習をさせていたヘルナンデスを外野に起用する方が良かったと思う。確かに佐藤輝はサード守備に不安があるが、今季はややスローイングが改善しているし、ここまでエラー数も2個。何より複数ポジションを守らせれば、打撃に影響したり、けがをしたりするリスクが高まる。
主力選手のポジション固定は、岡田監督が残した“財産”でもある。固定できないチームなら仕方ないが、阪神は違う。(日刊スポーツ評論家)







