阪神はドラフト1位の立石選手を2日前の19日に1軍初昇格させました。このタイミングでの1軍昇格には少なからず驚きを覚えました。「右ハムストリングの筋損傷」が回復し、2軍で実戦を重ねていたとはいえ、てっきり26日に開幕する交流戦に入ってから1軍昇格させるのだろうと予想していたからです。交流戦開幕を待たずの1軍合流に、これまで外野スタメン争いを続けてきた若手の面々は相当に危機感を募らせなければなりません。

来週29日からは敵地ロッテ3連戦が控えており、DH制を適用した戦いもスタートします。スタメン野手を1人増やせるタイミングで立石を1軍に上げるのが自然と見ていましたが、そのタイミングを待たなかった。この決断から首脳陣の考えが見て取れます。近本選手が死球による左手首骨折で長期離脱している中、左翼と中堅の2枠を争う選手たちに若干の物足りなさを感じていたのでしょう。

開幕左翼スタメンの座を奪った中川選手は2軍再調整中。前川選手も立石選手との入れ替わりで2軍降格しました。高寺選手はチーム最多の7盗塁を記録して、打率2割5分3厘、2本塁打、7打点と気を吐いていますが、まだレギュラーを奪ったわけではありません。そんな外野争いに当初左翼レギュラーの本命とされていた立石選手が参戦したのですから、勢力図が一気に変わるのも仕方がありません。

満を持して次代のタイガースを担う大物ルーキーを昇格させたのですから、首脳陣はしばらく「6番・左翼」で使い続けたいはずです。そして、仮に立石選手がタイガースにとって長年の課題だった「6番不在問題」を解決すれば、貴重なスタメン競争枠の1つが消えることとなります。もちろん近本選手が戦列に復帰すれば中堅スタメンの座も埋まるわけで、存在感を高めている高寺選手も含めて、外野を争う若手選手に残されているチャンス期間はそこまで長くはないかもしれません。

近本選手が戻ってきたとき、若手外野手勢がそれでも「左翼・立石、中堅・近本、右翼・森下」の牙城(がじょう)を切り崩しにかかろうとして初めて、チーム力の底上げは実現します。22日からのビジター巨人3連戦、そして交流戦。尻に火がついたであろう若虎たちの負けん気に注目したいところです。(日刊スポーツ評論家)

阪神対中日 ベンチの中で試合開始を待つ阪神岡城快生(左)と立石正広(撮影・加藤哉)
阪神対中日 ベンチの中で試合開始を待つ阪神岡城快生(左)と立石正広(撮影・加藤哉)