巨人が同率首位に立った。橋上監督代行は要所の試合で坂本らベテランを起用し、経験値という“無形の力”を活用している印象だ。この日の広島戦では坂本を「6番三塁」で先発させた。21日の中日戦では8回、大勢がまさかの4失点で痛い逆転負け。連敗すれば悪い流れへと傾く試合で、13日の西武戦以来となる先発でベテランを使った。

相手先発が左腕、玉村ということもあるだろが、橋上監督代行になってから22試合目で坂本は7試合に先発。阿部監督のときは46試合で同12試合だったから、明らかに増えている。しかも先発した7試合、5勝1敗1分けと勝率が高い。

阿部監督が辞任してから約1カ月。交流戦ではセ・リーグで唯一勝ち越しを決め、監督不在のピンチをプラスの方向へ変えている。この1カ月の戦い方を見ると、チームの危機で選手が一致団結したように感じる。

なぜ、一致団結できたのか。チームがひとつになる上で、経験豊富なベテランの存在は欠かせない。投手陣では則本、田中将、野手では坂本、丸ら。21日の中日戦で代打で出た丸は2ストライクから粘って右前打。坂本も代打で2ストライクから四球を選んだ。

出番が少ないベテランが泥くさくプレーする姿は、ほかの選手にも響く。坂本はこの試合で3打数無安打。坂本、丸ともに打率1割台と成績は良くないが、彼らはきゅう覚や感性、予知する力などを持っている。現状のチーム状況でなにが必要かなど、多くの引き出しがある。見えないところでの言動、行動が好影響を与えているのではないか。

サッカーW杯に出場している日本代表の長友選手が、ベンチで鼓舞する映像を何度も見た。オランダ戦後には選手ミーティングの招集をアドバイスしたと聞く。試合には出なくても、そういったところでの存在感がある。

長友選手と坂本らを比べるわけではないが、強い組織には必ず縁の下でチームをまとめる力を持ったベテランがいる。「ベテランの無形の力」とは野村克也監督がよく使った言葉だ。野村さんは、ベテランの使い方がすごくうまかった。その活用の仕方を、橋上監督代行はよく理解しているのではないか。阿部監督が辞任してから、ここまで好調に戦っている要因のひとつに、ベテランの力が見え隠れしている。(日刊スポーツ評論家)

広島対巨人 今季4勝目を挙げた戸郷翔征(左)は橋上秀樹監督代行とタッチを交わす(撮影・岩下翔太)
広島対巨人 今季4勝目を挙げた戸郷翔征(左)は橋上秀樹監督代行とタッチを交わす(撮影・岩下翔太)
巨人坂本勇人(26年6月19日撮影)
巨人坂本勇人(26年6月19日撮影)