荒川の河川敷に吹きすさぶ強風が、肌に突き刺さった。手袋やマフラーで完全防備をしても、寒さでペン先が小刻みに震えた。4年ぶりにヤクルト担当に復帰した記者のそんな姿に、自主トレ中の川端が「ここ、全然変わらないでしょ」と人懐っこく笑った。1月の戸田球場を訪れるは4年ぶり。バックスクリーンのスコアボードは昨年新しくなり、「初めまして」と名刺を手渡す選手も多くなるなど、選手の顔ぶれも変化している。それでも、このひんやりした冷気は、かつてと同じだった。

 川端の野球に対する“温度”は、4年前よりも熱くなっている気がした。昨年は8月31日に椎間板ヘルニアの摘出手術をするなど1軍の舞台に立つことなく、リハビリ選手が集う戸田球場で1年の大半を過ごした。「1人でリハビリをすることが多くて寂しかったので、みんなと練習がしたい。1人でやるのは嫌。後悔しないために、やれることをオフにやろうと思っています」。かつて抱いていたのは、冷静にコツコツと自分を磨く求道者のような姿。4年ぶりに取材をした川端の言葉には、がむしゃらな激しさと熱が混じっていた。

 愛媛・松山での自主トレでは、恒例の権現温泉での入浴シーンの撮影が実施された。「ここのお湯、本当にいいんですよ」と話すと、鵜久森と真っ先に湯船へと滑り込んだ。その肉体は、しっかりと引き締まっていた。「僕ももう30歳になりましたよ」と苦笑いしていたが、老け込むのはまだ早いだろう。川端が復活していく姿を、しっかり見ていきたい。【ヤクルト担当 浜本卓也】