プロ野球界で「甲斐キャノン」がトレンドワードとなっている。広島は日本シリーズでソフトバンク甲斐に機動力をそがれたことが一因で敗れた。そんな悔しさを味わったチームにも、甲斐に刺激を受けている選手がいる。曽根だ。

甲斐と同じくソフトバンクの育成出身。今季7月下旬に交換トレードで移籍してきた。同僚だった時代、3歳上の甲斐には「何度も食事に連れていってもらったことがある」という。

曽根と甲斐には他にも共通項がある。ポジションは違うが2人とも強肩だということだ。曽根に甲斐の肩について聞いた。「昔から強かったですよ。でも、あれだけ盗塁を刺せるのは、あの体格もあると思います」。前のめりになって聞いた。甲斐は170センチ、80キロと小柄。どこに秘密が? 曽根は続ける。

「あの人は腕が短いでしょ。だから捕ってからが速い。あれは武器ですよ」。なるほど。つまりスローイングの際に長い腕に比べて遠回りしないため、速く送球できるというわけだ。コンマ数秒を走者と争う盗塁においては、優位に働く。

曽根は今季、新天地でプロ初安打を放つなどいい経験を積んだ。「来年は1年間通して1軍にいることを目標に頑張りたいです」。そう意気込む曽根の話を聞きながら、多くの人材を1軍に送り込む、ソフトバンクの育成システムの優秀さにもあらためて感心した。【広島担当 大池和幸】