シュッとした顔に似合わぬちょびひげが、広島床田の苦悩を物語っていた。10日の阪神戦前「最近ずっとダメなんで、ちょっと生やしてみます」と話した。本来は物事に頓着しないタイプ。よほど追い込まれていたのだろう。験担ぎも効果がなく、2回2失点で降板。11日に出場選手登録を抹消された。開幕から先発ローテーションを守ってきたが、ついに外れた。

左肘のトミージョン手術から復活して実質1年目。開幕当初は勝ちまくったが、だんだん勝てなくなった。球威、ボールのキレが低下。器用さでカバーしてきたが「ごまかしが利かなくなりました」。リリーフが打たれたり味方の失策で勝ち星が消えた試合も4試合あった。すべて勝っていれば状況は変わっていたかもしれないが、2軍で復活への道を探ることになった。

それにしても、1年間ローテーションを守るのは難しい。1年目の12年に先発ローテを守り切ったチームメートの野村は「きついですよ」と話す。「自分で何が悪いか気づけるかが勝負。メンタルなのか、フォームなのか、疲れなのか。自分の体も毎回変わりますから」。自らの心身と徹底的に向き合い、相手の研究の裏をかき、最良の投球を組み立てる、実にデリケートな仕事である。

床田は1軍に戻って来られるだろうか。「ひげはやめます。ちょっと(2軍で肌を)焼いてきます。(シビアな優勝争いの)そういう場面で戻ってきたい」と決意表明した。チームに床田が必要なことも確か。与えられる時間が限られる中、早く不調の原因に気づき、それを取り除き、すっきりした顔で再昇格したい。【広島担当 村野森】