京セラドーム大阪の一塁側ベンチ裏からオリックスの選手ロッカー室へ続く通路壁面には「偉人」たちの言葉がプリントされている。チームを鼓舞するために、球団が考案したのだろう。どれも「なるほど」と思わせる言葉が並んでいるのだが、その中で今のホークスにピッタリの言葉があった。

「No one can win against the guy who doesn’t give up.」-あきらめない奴には、誰も勝てないんだ-。

米メジャーリーグの往年の大スター、ベーブ・ルースの言葉だった。「あきらめない気持ち」は何にもまさる。決着がつくまでとことん戦い抜く。2年ぶりV奪回へ向けて逆転を狙う工藤ホークスにとって最大の敵は「おのれ自身」かもしれない。残り3試合。ゴールテープを切るまでは気を抜くわけにはいかない。

試合は「目標」のあるチームとそうでないチームの差がはっきりと出た。8-0の完勝。このカードから「超攻撃型野球」と銘打って戦うオリックスだが、最下位に沈むチームに全力を誓うホークスの壁は厚かった。

それにしてもV争いはまれに見る激烈な戦いとなった。仙台で西武が楽天を下しマジックは「2」となった。文字通り「サドンデス」の最終章である。ここまで来たら逆転を狙うホークスにしろ、V王手の西武にしろ、新時代・令和初のリーグ王者をたたえたい。先日、NHK番組を見ていたら前回ラグビーW杯のことが放送されていた。強豪南アフリカを下した日本代表の五郎丸歩氏は「恥ずかしい気持ちだった」と述懐していた。大金星にはしゃぐ日本選手に南アフリカの選手が寄ってきて健闘をたたえたという。プロ野球ファンもそんな「感動」を待っている。【ソフトバンク担当 佐竹英治】