動きが止まったのは「現場」だけではない。ソフトバンクは3月31日からチームの活動を休止した。グラウンドから選手の姿が消え、スタッフを含め自宅待機を強いられている。活動を一時休止しているのは全国に散らばるスカウト陣も同じだった。球団の方針で当分の間、スカウト活動休止を決めた。高校、大学、社会人…。チームの補強ポイントに合わせ、好素材を追い続ける彼らも「自粛」を余儀なくされた。

「先週くらいまでは(アマチュアも)動きがあったんですけど、一気に動きがなくなりました」。関東地区を担当する荒金スカウトは残念そうに話した。新型コロナウイルス拡散が一気に増加した東京都や神奈川県などをカバーする同スカウトは「相手に迷惑をかけるわけにもいきませんから」と自宅待機の日を送っている。キャンプ中の2、3月は大学、社会人チームを見ることができたが、高校生はセンバツ大会中止を含め、部活自体が行われていないため、動きようがないのも現実のようだ。

プロ野球の「開幕」が大きくずれ込むことになれば、ホークスに限らず12球団のスカウト活動にさらに支障が出る可能性もある。MLBでは今季のドラフトの大幅縮小を表明。開催時期も6月から7月に変更した。当然、日本でも議論の対象となるだろう。ドラフト開催時期もそうだが、指名選手数などいろんな問題が出てくるはずだ。

「早く(新型コロナウイルス感染が)終息してくれるといいんですが…。じゃないと、僕らもいつ動いていいのかわからない」。荒金スカウトはため息を漏らした。問題は「現場」だけでは、ない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】