新型コロナウイルスの感染拡大が再び広がってきている。ナゴヤドームも観客の上限を1試合5000人から1万6000人程度まで広げる予定が延期。その影響は中日OBにも及んでいる。元中日投手でわらび餅店「喜来もち ろまん亭」(名古屋市東区)を経営する山田喜久夫氏(48)もその1人だ。14年に開業したが3月からのコロナ禍で営業時間を短縮している。

4月にナゴヤドームに隣接する新店舗をオープンし「喜久ちゃん弁当」(税込み800円)を販売する予定だった。入場制限が続いたため8月22日に再設定したオープン日も微妙になっている。「弁当はわらび餅と一緒に販売していて、お客さんにも好評でした。今回の延期で待っていてもらっている方にも迷惑をかけて申し訳ない」。

現役時代は左のリリーフとして活躍。94年の「10・8」決戦でもマウンドに上がった。「現役時代のように投げられないときは、自分の調子が悪いからだけど、今回は違うから。僕からはどうにもできないからね」。選手のように練習や再調整で乗り切れないもどかしさを口にした。

昨夏に腎移植手術を行い、現在も定期的に通院している。基礎疾患がある人が新型コロナウイルスに感染すると重症化のリスクが高いとされるため、健康にも細心の注意を払いながら営業を続けている。お弁当は、国産の銀ジャケを使ったシャケ弁と、大分の地鶏を使ったからあげ弁当が自慢。かつてのセットアッパーは、事業主として新店の“登板”機会をひたすら待ち続けている。【中日担当・伊東大介】

「喜来もち ろまん亭」を経営する山田喜久夫氏
「喜来もち ろまん亭」を経営する山田喜久夫氏