阪神で長らく抑えの切り札として活躍した藤川球児投手(40)が、今季限りで引退した。日本球界4位となる243セーブ。07年にはセ・リーグのシーズン最多タイ46セーブ。華々しい数字が並ぶ。その裏で藤川は、一般には知られざる記録も積み重ねていた。

◆後の監督14人と対戦 プロで打席に迎えた598選手の中から、引退後14人が監督となった(来季就任のDeNA三浦大輔、オリックス中嶋聡含む)。このうち今季までDeNAを率いたラミレスには対戦打率3割4分7厘と打ち込まれた。許した17安打は、全対戦打者中最多。その一方で、巨人の主砲だった高橋由伸は32打数3安打、被打率0割9分4厘と圧倒した。なお、後の“上司”となる金本知憲とは、1試合だけ対戦。3打数2安打1二塁打とやられたものの、1三振を奪って一矢を報いた。

◆8打数8三振 日本ハム-横浜-日本ハムに計5シーズン在籍し、96本塁打を放った強打者スレッジとは計9打席対戦。1四球を与えた以外の8打数で、すべて三振に切って取るという離れ業を演じた。ほかにも李承■(■は火ヘンに華)(ロッテ-巨人-オリックス)もお得意さまで、17打席対戦しノーヒット。13打数11三振と圧倒した。

◆超絶西武キラー 交流戦の西武戦では、すべて救援で23試合に登板。26イニングを投げ、通算失点はゼロ。許した安打はわずかに7と、完璧に封じ込んだ。奪三振率は驚異の16・96にのぼった。

◆完投ないまま1000奪三振 17年5月30日ロッテ戦で、146人目の通算1000奪三振に到達。その後、今季の千賀滉大(ソフトバンク)まで、151人が達成している。この中で、完投した経験がないのは藤川ただ1人。短いイニングで着実に三振を積み重ね、優秀な先発投手たちの記録に割って入った姿が浮かび上がる。

火の玉ストレートと呼ばれた剛速球がファンの印象に強い。その一方で、NPB在籍19年で太く長く活躍したあかしとして、こういったマニアックな数字も打ち立てていたのだ。まさに記憶にも記録にも残る名投手として、藤川は永遠にファンの心に残ることだろう。【記録室=高野勲】