久々に彼らしい姿を見た。2軍で再調整中の阪神加治屋蓮投手(29)が、1日のウエスタン・リーグ、オリックス戦(鳴尾浜)で3番手として登板。2点リードの6回2死満塁で登板。佐野皓を3球三振に仕留めた。直球でまずストライクを取ると、得意の高速フォークを2球続け、どちらも空振りさせた。「気持ち的にも攻めていけた」と本人も手応え十分。平田2軍監督も「冷静にひとりをしっかり打ち取ってくれた」と評価した。翌2日のオリックス戦にも連投し、9回の1イニングを3人斬り。2軍でもここまで10試合、8回1/3で防御率7・56と数字的にはまだまだだが「自信を持って投球すること、直球の強さを取り戻すこと。これなら1軍でも通用すると思えるぐらい自信を持って投げることですね」と、結果と内容を積み重ねるつもりだ。

ソフトバンク時代の18年は72試合に登板しフル回転。しかし、さすがに終盤は疲れがあったようにも見えた。日本ハムとのクライマックス・シリーズ第2戦では内角を狙った球が甘く入り負け投手に。捕手のフォークのサインに首を振って打たれた。それでも試合後は「今年一番成長できた内角真っすぐ。自分を信じていった結果。詰めの甘さが出たのかなと思う。冷静になっていれば…。もっと余裕を持った精神状態でマウンドに上がらないと。絶対リベンジしたい」と、真摯(しんし)に囲み取材に応じた。第3戦でも8回を任され無失点投球。1日で信頼を取り戻した。どんなに打たれても、取材に応じてなぜ打たれたのかを自分の言葉で伝えてくれた姿を思い出す。

ソフトバンクを戦力外となり、拾ってもらった阪神に恩返ししたいと開幕1軍入りも、思うような投球ができず降格した。数々の修羅場をくぐってきた経験は、優勝を争うシーズン終盤にはきっとチームの力になるはずだ。本人も言う通り、力強い真っすぐが戻れば、ブルペン陣にも大きなプラスになる。活躍してうれしい加治屋の声を虎党に届けたい。【阪神担当=石橋隆雄】