野球の国から

ロッテ福浦和也 浦和で体に染みついた朝型生活

<浦和の群像1>

プロ野球といえば、多くの人が1軍の華々しい舞台を思い浮かべるだろう。一方で2軍球場では、若手や再起をかけるベテラン、リハビリに励む選手らが汗を流している。12球団、12通りの個性がある中で、ひときわ牧歌的で情緒ある雰囲気を醸すのがロッテ浦和球場だ。公式戦が無料で観戦でき、選手とファンの距離も近い。浦和の風景や選手の近況に焦点を当てた。

ロッテ浦和球場
ロッテ浦和球場

夏が来た。JR武蔵浦和駅から徒歩15分ほど。ロッテ浦和球場に近づくと、お菓子工場の甘いチョコレートの香りと、蚊取り線香のにおいがする。

一塁、三塁側にはそれぞれ、決して多いとはいえない座席が並ぶ。三塁側の観客スペースと、選手の動線が黒い布1枚で仕切られている箇所もある。球場とクラブハウスを結ぶ道路はいつもファンでいっぱい。選手は快くサインに応じる。ここは本当に距離が近い。

今年はやはり、ドラ1藤原の人気が突出している。女性が増えた。19歳に劣らず熱い支持を集めるのが、43歳の福浦。今季限りでの現役引退を決め、2軍打撃コーチを兼任している。前に言っていた。「今年が一番大変だ」と。どんな1日を過ごしているのだろう。

5月11日、イースタン・リーグのヤクルト戦の6回に代打で適時打を放って笑顔を見せるロッテ福浦
5月11日、イースタン・リーグのヤクルト戦の6回に代打で適時打を放って笑顔を見せるロッテ福浦

福浦の朝は早い。5時40分、起床。6時10分過ぎに千葉の自宅を出て、7時半に浦和着。9時半からは他の選手と打撃回りに参加。キャンプで披露した打撃投手は、今はしていない。

昼食後、試合前のシートノックを見守る。午後1時、プレーボール。あれ? ベンチに姿がない。

「自分の練習は試合中にやらせてもらってる。ありがたいよね。(試合後に)若い子たちが打ってる間は、見なきゃいけないから」

室内練習場でティー打撃をこなし、クラブハウスでウエートトレーニングに励んでいた。試合中のコーチ業は堀コーチに任せ、自分のメニューを終えたらグラウンドに戻る。夕方は室内で若手を指導。風呂に入って帰るころには午後6時を回っている。

家では野球好きの次男がナイター中継を見ている。今度は1軍の試合を、家族と観戦する。「別に見なくてもいいんだろうけどさ。やっぱり見ちゃう。香月とか、下で頑張ってたやつが出てると」。親心だ。

野球漬けの1日はまだ終わらない。iPad(アイパッド)を開く。昼間の2軍戦で、直接見られなかった間の映像をチェックする。「テスト添削する学校の先生みたいですね」と言ったら「本当だよね」と笑った。気付きがあっても、自分から選手に言わないのが福浦流。悩み、迷ったら聞いてくる。その時、答えられるように準備する。

不振に陥った主力が2軍調整後に復調し、ファンから「福浦再生工場」と称賛されたことが何度かあった。「もともと力があるから戻ってるだけの話。アドバイスはするけど、やるのは本人。何もしてないよ」。

日付が変わるころ床に就く。1軍戦力としてナイターに備える時は、昼に起きればよかった。比べるとおよそ6時間前倒しのタイムスケジュール。入団当初は寝坊・遅刻の常習犯だった。「たまに(夜)飯食って寝落ちしちゃうときあるの」と疲労をためても「5時半に勝手に目が覚める。慣れちゃった」。朝型が、体に染み付いてきた。

冒頭の「今年が一番大変」の真意を聞いた。

「何がきついって、選手に見せなきゃいけないこと。あいつらに思い切り振れとか、強く振れとか言ってるから。自分も振らないといけない。現役だから」

いちプレーヤーとして、試合に出ることもある。今の福浦にとって「打席」は、どんな意味を持つのか。(つづく)【鎌田良美】

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