野球の国から

独立リーグ選手のためのクラウドファンディング提案

<学生×アプリ開発(2)>

「パ・リーグ 学生ベースボールアプリ選手権」では、ビジネスへの展開力が光る提案もあった。法大3年の尾上寿明さん(22)明大2年の矢花俊晴さん(21)は、金銭的に苦しい独立リーグの選手のため、アプリを使ったクラウドファンディング(CF)を提案した。

ファンクラブ作成アプリをプレゼンする尾上さん(左)と矢花さん
ファンクラブ作成アプリをプレゼンする尾上さん(左)と矢花さん

日本野球機構(NPB)のプロ野球選手なら2軍でも最低年俸420万円は保障され、育成枠でも240万円。一方、独立リーグは平均月給が約15万円で、シーズン中の6カ月間だけの支給で年俸は約90万円しかない。貯金を使うか、オフにアルバイトなどをしなければ生活できない。この状況をアプリで改善する。

CFとはクラウド(群衆)とファンディング(資金調達)を合わせた造語だ。インターネットなどを利用して、幅広く資金を集める。尾上さんらは「アプリを使って選手自身が個人のファンクラブサイトを立ち上げる」という手法で、全国各地の野球ファンから選手にお金が届くようにする。「全国各地の潜在的なファンを発掘する。夢を追いかける人の手助けをしたい」ともくろむ。

球種判別アプリで審査員特別賞の奥山さん
球種判別アプリで審査員特別賞の奥山さん

双方にメリットが必要だ。選手はお金以外にも、ファンが増える。投資者には、選手からのメッセージ、オフ会、サイン入りグッズなどのプレゼントが届くようにする。独立リーグ出身の角中(ロッテ)はNPBで首位打者を獲得するまで成長したが、選手が有名になった際には「無名時代から推していた」という目利きとしての優越感にも浸れる。

技術力の高さを示したのは、審査員特別賞の東大大学院2年の奥山理奈さん(23)だ。東大では日本ハム宮台と同期で硬式野球部のマネジャーを務めたが、プレー経験がなく「球種の判別ができず、スコアをつける際に苦労した」。球種のバランスがいい日本ハム上沢の動画を7試合約700球、クラウド上の人工知能(AI)で解析した。日刊スポーツコムの1球速報と照合し、1カ月で正答率を約60%にまで引き上げた。

奥山さんは東大文科三類から理系に転じ、工学部に進んだ。制作したアプリで「野球未経験者が、こういうのがカーブ、スライダーかと分かれば、うれしいと思う。(東大のデータ)分析班の負担も減らせる」と願う。卒業後は金融関係のエンジニアとなる予定だが、野球界に進んでほしいという声も上がった。(つづく)

【斎藤直樹】

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