野球の国から

浪人生多く即戦力難しい京大に現役甲子園出場経験者

<京大野球部に刮目せよ(4)>

京大野球部では珍しい甲子園出場経験者が、手塚皓己投手(1年=膳所)だ。

21世紀枠で18年春のセンバツに出場。日本航空石川に8回10失点完投負けしたが、大観衆を背に投げ抜いた。「あの時に京大に行くって言ってましたし」。宣言通りに現役で合格した。

膳所高時代に甲子園で登板した京大・手塚
膳所高時代に甲子園で登板した京大・手塚

もうひとり、期待の1年生投手がいる。左腕の牧野斗威投手(1年=北野)だ。高校3年時に大阪選抜に選ばれ、当時履正社のロッテ安田尚憲内野手らと一緒にプレー。1浪を経て、京大の門をくぐった。2人ともまだリーグ戦登板がないが、近い将来、チームの中心を期待される存在だ。

ただ、毎年やってくる1年生には、ある傾向がある。浪人生が多いことだ。現3年生まで選手64人中、33人が浪人経験者。2年生の杉山柊斗外野手(栄光学園)は2浪だ。1浪後に慶大で仮面浪人し、京大に合格している。現1年生選手も24人中、12人が浪人。青木孝守監督(65)は「京大生は7対3で現役が多いが、うちのチームは現役と浪人が半分。現役でも(高3での)引退後(大学入学まで)8カ月は運動をしていない。浪人なら20カ月。1年生は基礎体力をつけさせるようにしている」と話す。故障防止も念頭に、1年生は即戦力として考えないという。そこにも京大ならではのハンディがある。

しかも、手塚も牧野も入部は5月のゴールデンウイーク明けだった。手塚は「高校で野球はやり切った感じだった。乃木坂46とか“坂道”が好きなんで、ライブや遠征にも行きたかった」と明かし、牧野も「アメフトなど違うスポーツにも魅力を感じていた」と別の大学生活を描いていた。だが、懸命の勧誘が2人の心を動かした。青木監督は本人たちの前で「これからは優勝争いをするチームになる」と訴え、先輩部員は「京大野球部はガチでやっている」と熱く呼びかけ、入部が実現した。

手塚は「(アイドル応援活動も)満足いく範囲でできていますし、春はチームの勝ちに貢献できる投手になりたい」とオンとオフを上手に切り替え。牧野も「思った以上にブランクがあった。今は戻ってきている。先発として投げたい」と春のリーグ戦での初登板を狙っている。

北野高時代に大阪選抜入りした経験を持つ京大・牧野
北野高時代に大阪選抜入りした経験を持つ京大・牧野

もうひとり、21世紀枠で16年春のセンバツに長田で3番打者として出た吉田仁承(まさつぐ)内野手(2年)も昨春1打席、昨秋2打席と経験を重ね、今春のブレークが期待されている。

彼らを陰でサポートしているのが京大初のデータ班専門部員、三原大知さん(1年=灘)の存在だ。

野球経験はないが、小さいころからプロ野球やメジャーリーグ観戦が大好き。公開されているデータを参考に、先読みしながら京大の試合を見ている。京大が19年からトラッキングシステム「ラプソード」を60万~70万円かけて導入したことを知り「現場でそういうデータに触れられる」と入部。球の回転数や回転軸などを測定し、投手陣へ参考データを提供。「野球はサッカーなどに比べると、分析的に見られているものが少ない。違う目線で見ても面白い」。ラプソードを駆使する三原さんも大きな戦力。チームはAクラス、そして優勝へ向け、日々チャレンジを続けている。(つづく)

【石橋隆雄】

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