ふくださんの高校野球が好き

イチロー引退 忘れられないレーザービーム記念日

忘れられないイチローのプレーがある。メジャー1年目の2001年(平13)4月12日。当日は編集局野球部の当番デスクだった。

イチローの「レーザービーム」を伝える01年4月13日付日刊スポーツ1面
イチローの「レーザービーム」を伝える01年4月13日付日刊スポーツ1面

鮮烈なデビューを飾ったイチローはアスレチックス戦に臨んでいた。ただこの日は休養日でスタメンを外れていた。8回表に代打で出場。安打を放つとその裏の守備で、その後イチローの代名詞となる「レーザービーム」という言葉を生むプレーが飛び出した。1死一塁から右前打で三塁を狙った走者をノーバウンド返球で刺してメジャー初補殺を記録したのだ。

このプレーに実況したFOXテレビのアナウンサーが大興奮した。

This is beautiful and perfect perfect perfect throw.

(これは美しくも完璧な、完璧な、完璧な送球だ)

What an arm on his young man from Japan!

(日本から来たこの若者の肩といったらどうだ!)

Holy smokes! A laser beam strike from Ichiro.

(すごい超速球、まるでレーザービームのストライクがイチローから返ってきた)

The Mariners have a new important Super star.

(マリナーズに新しいスーパースターが誕生した)

How much fun it was.Thank you very much Ichiro.

(何と楽しいプレーだ。ありがとうイチロー)

「レーザービーム」

初めて聞く言葉だった。

そこでアイデアが浮かんだ。紙面のレイアウトを担当するTデスクに相談。

「米国の新聞のような横組みの1面を作ってみたい」

日本の新聞記事は縦書きが当たり前。特に新聞の顔である1面で横書きの紙面をつくるなどありえなかった。

しかしTデスクも「レーザービーム」という聞き慣れない言葉に興味を示したのだろう。

「やってみましょう」

そしてアナウンサーの実況を横書きの英文のまま見出しで掲載するという前代未聞の1面ができあがった。

後日、上司から呼び出しを受けた。てっきりイチローの横組み1面を批判されるのかと思いきやそうではなかった。Tデスクとともに社内表彰されるという。わずかばかりの報奨金をTデスクと分け合ったことは今でも忘れられない。

その後、時は過ぎ、10年ほど前から新聞紙面ではなくネット速報の仕事をしている。

イチローの記事はキラーコンテンツでとにかくよく読まれる。いつしか社内でイチローの打席速報をするのが日課になった。

イチローは足が速く内野安打が多い。少しでも多くの情報を速報に入れようとストップウオッチでタイムを計ることにした。打ってから一塁まで(約27m)速い時で3秒7前後、ほとんどが4秒を切っていた。ただここ数年は4秒台を記録することも増えてきたように思えた。

イチローの現役最後の打席となった昨晩(21日)の第4打席。自宅テレビの前で気が付けばストップウオッチを握りしめていた。遊ゴロを放ったイチローは一塁へ全力疾走。わずかに及ばずアウトになった。刻まれた数字は「4秒03」。4秒を切れていれば…。それから間もなく「イチロー引退」のニュースが飛び込んできた。

85年日刊スポーツ新聞社入社。野球記者11年、野球デスクを7年勤めた後、現在は毎朝6時半出社で「ニッカンスポーツ・コム」の編集を担当。取材で世話になった伝説のスカウト、木庭教(きにわ・さとし)さん(故人)を野球の師と仰ぐ。@fukudasunのアカウントでツイート中。

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